2005年5月11日(水)「しんぶん赤旗」

乗客「電車が怖い」

兵庫 「心のケア」相談に144件


 「電車に乗れない」「見るだけで体が震える」――。百七人の死者と、四百人を超える重軽傷者を出したJR福知山線脱線事故は、乗客に深い心の傷を負わせていることが兵庫県などが実施した「心のケア」特別相談のまとめで分かりました。

 同県の「こころのケアセンター」と健康福祉事務所が実施。四月二十七日から五月九日までに百四十四件の相談がありました。

 乗客本人からは三十八件の相談があり、大半が「電車に乗るのが怖い。事故を思い出す」などと訴えています。

 家族からの相談は二十八件で、「本人にどう接したらよいのか」「相談にいくように勧めても本人が拒否するがどう対応したらいいか」などの相談が寄せられています。

 不眠、食欲不振、頭痛など複数の症状を訴え、医療を必要とする相談が目立ちました。

 三両目に乗っていて骨盤骨折などの大けがをした兵庫県の女性(18)は、今も電車に乗れません。自動車に乗っても、スピードが上がると恐怖を覚えるといいます。電車に同乗していた友人が亡くなり、「夜中に目がさめて眠れない」と訴えています。

 この女性の父親(46)は「娘は大切な時期。JRはもうけより安全第一を基本方針にした体質に改革してほしい」と話しています。


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