2005年5月11日(水)「しんぶん赤旗」

これが実態

税金ツアー

東京都議会 自・民・公


 ラスベガスやモンテカルロに二泊してカジノ調査。一人平均百四十八万円の費用をかける必要のない税金のムダ―。こんな自民、民主、公明三党の海外視察の実態が日本共産党東京都議団の調査で明らかになりました。テレビでも問題になった海外視察の実態とは……。

 都議の海外視察でとりわけ都民の怒りを呼ぶのは、自民党、民主党がモンテカルロ、ラスベガスのギャンブル観光地の“調査”にそれぞれ二泊も費やしている実態です。

 しかも報告書の中身をみると、たいていは日本からインターネットなどで知ることができる程度のもので、「税金をつかった観光旅行」との批判がでるのも当然です。

 自民党は二〇〇二年十一月、六人の都議をドイツ、フランス、モナコ公国に派遣。費用は九百三十三万円です。メンバーは川井しげお(中野)、鈴木一光(葛飾)、串田克巳(八王子)、吉原修(町田)、萩生田光一(八王子・現衆院議員)、中屋文孝(文京)の各都議。

 一行は十一月二十二日からカジノで有名なモンテカルロに二泊三日しました。

 視察後に作成した報告書(三十一ページ)をみると、十日間の視察の三分の一の日数を費やしたカジノ視察には、たったの二ページ割いただけ。モンテカルロの町並みを背景に一行が写った記念写真が一枚というお粗末なものです。

 一方、民主党は〇二年十月、尾崎正一(府中)、藤川隆則(小金井)、大塚隆朗(港)の三都議をサンフランシスコ、ニューヨーク、ラスベガスを回る十日間の視察に派遣。ラスベガスに二泊三日滞在しています。費用は約四百五十八万円。

 ラスベガスでの宿泊先は「ベラッジオ・ラスベガス」。ホテルの前に造られた湖では世界的に有名な噴水ショーが連日行われる五つ星の超豪華ホテルです。

 三十一ページの報告書を見ると、ラスベガス部分は六ページ。一行は、カジノのディーラー養成所を視察しており、ディーラーになるための資格の取り方などを紹介しています。


高額費用 その理由

 視察費用が都議一人当たり平均百四十八万円もかかっているのには、理由があります。

 航空運賃や添乗員、通訳、専用車の費用が高額なためです。すべて都民の血税です。

 航空運賃は、ビジネスクラス(ファーストクラスとエコノミークラスの中間)を利用しています。往復割引券も使わないで、ヨーロッパ視察では一人平均八十四万円も航空運賃に支出しています。

 添乗員費は常識はずれです。添乗員の費用は普通一日二万―三万円前後です。ところが、視察旅行では、一日五万円以上、なかには一日十五万円近いものまであります。

 例えば、二〇〇三年十一月の自民党の視察では、日曜日のミラノの観光施設めぐりや路面電車乗車などに、添乗員のほかに通訳を一日雇い、三万五千円支払っています。その一方、添乗員には日曜日と月曜日に一日当たり十万八千円、合計二十一万六千円も支払っています。


観光? マイク向けられ 「勉強 勉強」「疲れた」

定番コース回り記念撮影 テレビも報道

 「海外視察はまるで観光旅行」という実態を如実に物語るのが二〇〇三年十二月に放映された日本テレビの報道番組、「報道特捜プロジェクト2」です。その実態は――。

 取り上げたのは〇三年十一月にイタリア、イギリスを訪れた自民党調査団。メンバーは秋田一郎(新宿)、三宅茂樹(世田谷)、矢島千秋(豊島)、高島なおき(足立)、小美濃安弘(武蔵野)、林田武(西多摩)の各都議です。カメラは調査団六人に密着取材します。

 十一月二十二日。一行はイタリア・ミラノに到着。カメラは一行を乗せた貸し切り大型バスを映しだします。大型バスはひときわ車高の高い日本の観光バスと同様のもの。スタッフからは「あのバス六人しか乗ってないよ」の驚きの声が。

 バスはこの日の宿泊先であるホテル「エクセルシオール・ガッレア」へ。五つ星の最高級ホテルです。大理石が敷き詰められた豪華なロビーが映し出されます。

 翌日。都議会に提出していた計画書では、この日一行は終日、新世代路面電車「LRT」の調査をするはずでした。ところがバスから降りた一行の向かった先は、イタリア最大のゴシック建築、大聖堂「ドゥオモ」の方向。カメラをむけあって記念撮影する姿が映し出されます。その後カフェに入り休みました。「一行の様子は一般の観光客と変わらない」と番組は言います。

 結局この日半日をかけて、ミラノ観光の典型的なコースを回ったというのが実態です。

 番組は、二十八日に帰国した都議らを空港で直撃。リポーターが「観光旅行ではないか」とマイクを向けると、一人の都議は「とんでもない話。朝から晩まで勉強、勉強で。調査、調査で」などと答えます。別な都議は「観光もしましたか?」と聞かれ、「しない、しない。疲れたくらい一生懸命やってきた」などと答えています。

 番組は「多額の税金を使った海外視察が、果たして都政に生かされるのか」と疑問を呈しています。

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