2005年5月9日(月)「しんぶん赤旗」

独首相がロシア紙に寄稿

侵略に許しを請い　国連基礎の立場強調

　【モスクワ＝田川実】モスクワの戦勝六十年式典への出席を前にドイツのシュレーダー首相は、七日付のロシア紙コムソモーリスカヤ・プラウダに寄稿。「ドイツ人の名において、ロシアその他の民族が(ナチスの侵略で)受けた苦難への許しを請いたい」と述べるとともに、今後、ドイツを含む欧州連合(ＥＵ)とロシアが、国連と国際法を基礎に現代の諸課題の解決のため協力を強めると宣言しました。

　同首相は、第二次大戦で当時のソ連国民二千七百万人が犠牲になったことにドイツ人が今も責任を感じていると指摘し、モスクワ式典への招待を「名誉に思う」と述べ、「五月九日は単に記憶の日ではなく、欧州和解の象徴となるべきだ」と強調しました。

　また、同首相は、六十年前のこの日を「ドイツの新たな精神的、政治的な出発点」として戦後のドイツは「人間的尊厳と人権の尊重を平和と正義の不可欠の条件」として、東欧圏を含む諸外国との関係を改善してきたと説明しました。

　シュレーダー首相は、二十一世紀の新欧州が「大小を問わず、すべての国による対等な協力を基礎にし、勢力圏や覇権の追求は排除されるべきだ」と主張しました。さらに、国連、国際法をはじめとした「多極的協力の強化」が必要としながら、「自由、人権、パートナーシップのみが平和な欧州をつくるという戦争世代の訓示は、六十年たった今も生きている」と結んでいます。