2005年5月9日(月)「しんぶん赤旗」
市長会
憲法25条掲げ反対
生活保護費の国負担減に
「三位一体改革」の争点となっている生活保護費の国庫負担削減の問題で、全国市長会が憲法二五条をかかげて削減に強く反対しています。
生活保護費の国庫負担削減は昨年十一月の政府・与党合意で、今年の秋までに結論をだすことになっています。そのために四月二十日からは国・地方の協議が始まりました。同協議で全国市長会は、憲法二五条、生活保護法の条文を表紙に書いたパンフレットを配布。その中では「(国庫負担削減が)仮に強行されるようなことがあれば、生活保護事務の国への返上も辞さない」とのべ、削減を求める厚労省と全面的に対決する姿勢です。全国市長会はこの“二五条パンフ”を今後国会議員に配ることも考えています。
「憲法二五条が生活保護法の大本です。生活保護法にもはっきり書かれています」「二五条は社会保障での国の責任を明確にしています。生活保護費の国負担は現行の四分の三を守ってほしい」。全国市長会の担当者はこう語ります。
厚労省は生活保護費の負担率を現行の四分の三から最大二分の一まで引き下げるという方針を示しています。国庫負担削減額は、三分の二に引き下げると千九百億円、二分の一に引き下げると五千七百億円にもなります。
四月二十日の協議で地方側は、「国の負担率引き下げは地方への責任転嫁でしかない。生活保護制度そのものへの否定につながりかねない」(谷本正憲石川県知事)と批判しました。
生活保護の被保護者は百四十四万四千人、世帯数では百一万三千となっています(二〇〇五年一月現在)。一九九五年の八十八万人、六十万世帯から急激に増えています。国は増え続ける生活保護費の支出を抑えようと、〇四年度からの老齢加算の縮小(〇六年度に廃止)、〇五年度からの母子加算削減につづき、負担率の引き下げをねらっています。