2005年5月8日(日)「しんぶん赤旗」
“定時運転意識して焦り”
JR西に3年前警告
事故調
「定時運転確保に対する強い意識が、異常時にあせりをまねき、基本動作の確実な実施を阻害した可能性があった」――。三年前、JR西日本で起きた事故について、同社が国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会からこんな指摘を受けていたことが七日わかりました。
百七人の犠牲者を出したJR福知山線の脱線事故でも、定時運転最優先で、運転士に無理なダイヤを走行させたことが背景の要因と指摘されており、三年前の教訓が生かされなかったことになります。
今回明らかになったのは、二〇〇二年四月、京都駅で発生した事故。駅構内の運行制御装置の改良工事中、ポイント切り替えのミスなどで先行列車に異常接近して緊急停止しました。けが人は出ませんでしたが、事故調は列車脱線や衝突事故になる可能性があったとみて、調査しました。
JR西日本は、七日午前の会見で、〇二年十月に出された事故調報告書への対応について、「(作業手順の)チェック表、(作業の)シミュレーションを活用するという対応をとってきた」とのべましたが、安全よりも「定時運転最優先」という“警告”をどう生かしたかについては答えませんでした。
今回の事故では、JR西日本の運転士がオーバーランによる一分半の遅れを取り戻そうと、制限速度の時速七十キロを大幅に超える百八キロのスピードでカーブに入り、転覆脱線したとみられています。