
2005年5月7日(土)「しんぶん赤旗」
大手サラ金の社長の減税7億円 本当なの?
〈問い〉 4月20日付の本欄に、「大手サラ金の社長が7億円、日産自動車の役員が平均3800万円も減税されている」とありましたが、本当に一年でこんなに減税があるのですか? くわしく教えてください。(埼玉・一読者)
〈答え〉 この数字は、各社の2003事業年度の「有価証券報告書」に記載されたデータから、試算したものです。
日産自動車の場合、7~9人の取締役(年度途中で2人退任)に、「役員報酬」が16億4200万円、「役員賞与」が3億9000万円支払われたことが報告書に記載されています。
そのほか、役員が保有する自社株式への配当を含めて、一人平均3億円弱の年収になります。これから各種控除を引いた上で、98年以前の税率(所得税・住民税あわせて最高65%)と、今の税率(同50%)とを用いて、所得税・住民税の額を計算しました。この税額を比べると、一人あたり約3800万円の減税という計算になるのです。
大手サラ金の場合は、会社の創業者やその親族が役員になっており、この場合は自社の大株主でもあります。このため、役員報酬だけでなく、多額の株式配当を得ています。
報告書によれば、アイフルの社長は2468万株を所有し、配当が1株60円で総額15億円弱、武富士の専務の場合は1081万株で、配当が1株100円、総額12億円弱です。
以前は、株式配当は他の所得とあわせて総合課税されていましたから、高額所得者の場合は最高税率が適用され、「配当控除」という減税の仕組みがあったことを考慮しても、約58%の税率になる計算でした。
ところが、政府は03年に配当への大幅減税を実施し、他の所得と切り離して税率を10%にしました。一方、一般庶民の預貯金の「すずめの涙」のような利子には20%の税金をかけています。(垣)
〔2005・5・7(土)〕