2005年5月7日(土)「しんぶん赤旗」

「遺族同士連携を」に激励270通

“独りじゃない”

現職運転士、海外の女性からも

JR脱線 娘失った藤崎さん


 JR福知山線の快速電車脱線事故で川西市に住む藤崎光子さん(65)は、一人娘の中村道子さん(40)を亡くしました。事故後、藤崎さんは「遺族同士が連携を」と呼びかけました。そのことを知った遺族や市民から、六日までに二百七十通を超える激励文が寄せられています。


 「遺族同士悲しみを共有できたならば」。そんな思いから藤崎さんは、JR西日本本社に犠牲者の遺族の名簿の提供を求めていました。しかし、JRはプライバシーを理由にいったんは拒否。その後、遺族への手紙の文面を修正し、「遺族担当者が渡す」という条件で同意しました。

 手紙の内容、この間の経過が本紙や一般紙で報道され、ファクスやメールで「連携をしたい」など十七人の遺族や市民から、続々と激励文が届いています。

お母さんできた

 住所を手がかりに、藤崎さんの印刷会社を訪ねてきた女性の遺族もいました。「二年前に母親を亡くし、今度の事故では夫を亡くしました。天涯孤独になってしまいました。藤崎さんに会えてお母さんができたようです」と涙ぐむ女性。「私も娘を亡くし、孫だけです。道子と同じぐらいですか。もっとお若いかしら。道子の妹ができたようです」と、昼食をとりながら語り合いました。

 この女性はいいます。「夫の通夜が過ぎて、三日たってもまだ見つからない人がたくさんいることを知りました。私にも何かできれば」と藤崎さんを探し当てました。

 「夫と二人で暮らすために買ったマンション。独りぼっち。行き交うカップルを見て、自分は違う世界に追いやられてしまった。新緑も、見るものがベールにつつまれているように見えてしまいます。会えてよかった。勇気をもらいました。何もできませんがそばにいてやることはできそう」と藤崎さんに付き添いました。

元気づけられた

 「今回の事故の対応のまずさは、人の命を軽く見ている会社側の立場が見えています。私は藤崎さんの勇気に元気づけられました。このような事故を起こして本当に申し訳ありません」と現職のJRの運転士からも手紙が届いています。

 「娘さんのお話。インターネットで拝見しました。子を持つ親として、また大切な家族を持つものとして胸が張り裂ける思いです」と香港在住の女性。「アメリカ・ミシガン州から応援しています。亡くなられた道子さんと同い年。とてもやるせない」というメール。「いとこが脱線事故で帰らぬ人となったニューヨークの女性からもメールをいただきました。独りぼっちじゃない。一歩踏み出してよかったです」と藤崎さんは大きな反響に励まされています。


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