2005年5月5日(木)「しんぶん赤旗」
運転士いびりの連続
「ミスごまかすようになる」
再教育受けた労働者が告発
「勉強してなかった!今後はどのように頑張るのか」「熱気とヤル気はどのような所に出てくるか」――オーバーランなどミスをしたJR西日本の運転士が、区長(または係長)の指示で再教育(日勤教育)のために提出したリポート項目をまとめた文書を四日、本紙が入手しました。リポート提出は安全教育の一環として実施されていますが、労働者からは「区長の裁量次第で内容や期間が決められ、安全教育に名を借りたいびりだ」と批判の声が出ています。
文書は、JR西日本の尼崎、大阪の両電車区所属の運転士が、自らの体験を記したもの。尼崎電車区の運転士の場合は、休暇を含めて一九九九年二月十八日から三月七日まで、再教育を受けています。
一方、大阪電車区の運転士は同二〇〇一年六月二十日から七月五日までのもの。
両者とも始行時の午前九時から終業時の午後五時四十五分までの間で、ほぼ目いっぱいの教育を受けています。尼崎電車区の運転士の場合は、一時間きざみの教育になっています。
尼崎の運転士は「『自ら取り組むとはどのようなことか』といわれても、なかなか書けません。まとまらないリポートだと、『もっと長引くようになるで』とか『まだまだ勉強してもらわなあかんな』といわれて、いつまでも引っ張られます。一日が終わればくたくたで、翌日のことを考えるともう、出勤するのもイヤになってきます」と話しています。
元京都電車区の運転士で、国労運転協議会議長を務めた奥田継義さん(60)によると、京都電車区だけで二〇〇二年度の再教育の合計日数は五百二十二日、百一人で、〇三年度は合計日数三百四十八日、六十七人に及んでいます。
奥田さんは「西日本はとくにきびしい。本当にミスをなくすための教育ならわかるが、まったくの逆効果にしかなっていません。だからミスをすれば、いいことではないけど、ごまかすようになる」と語っています。