2005年5月3日(火)「しんぶん赤旗」
脱線事故のJR西日本 全社員に配布
遅延回復 マニュアルで指示
遅延回復のために制限速度を超えた快速列車が脱線事故を起こしたJR西日本で、運転士に列車遅れの「回復に努めること」を指示する乗務員マニュアル「運転作業要領」があることがわかりました。
JR西日本は、事故後の記者会見で、列車遅延の場合、運転士の「裁量」で「回復運転する」とし、「マニュアル」や「指示」は「出してない」と説明していました。
同社の現役運転士は、「運転士の講習でも現場の係長から『回復運転は運転作業要領で定められており、これにもとづいて回復運転せよ』と言われる」と証言。「運行中に遅延を報告した場合も、輸送指令から多くの場合に『制限速度内で回復運転に努めてください』と伝達される。運転士はみな義務と感じている。その伝達は、今回の事故後、ピタッとなくなった」と語っています。
この「運転作業要領」は国土交通省の省令にもとづいて、JR各社がそれぞれ作成するもの。
JR西日本の「運転作業要領」の「NO・19」は、「運転士は、列車が遅延したときは、許された速度の範囲内で、これの回復に努めること」と明記しています。
「許された速度」とは、同省令にもとづく運転取扱実施基準規定で定められた最高運転速度以下とされています。
「運転作業要領」は、すべての運転士と車掌にJR西日本から貸与され、乗務時には携行が義務付けられ、運転士の国家試験(委託)のテストにも出題されます。