2005年4月30日(土)「しんぶん赤旗」
JR脱線事故で国労西日本
再発防止措置を要求
国鉄労働組合西日本本部(上村隆志委員長)は二十八日、百六人もの死者を出した福知山線脱線・転覆事故にかんする考え方をまとめました。
このなかで、保安装置を含めて再発防止への措置を講じる必要があり、JR西日本に求めていきたいとのべています。
設備的な要求については、列車の速度を常にチェックし、スピードを間違ってもブレーキをかける新型の列車自動停止装置(ATS―P)を時速百キロを超える線区に優先的に導入するよう要求。遠心力と摩擦によるせり上がり脱線も原因として想定されることから、車輪をレールから脱線させないために脱線防止ガードの設置を求めていくと主張しています。防止ガードは、営団地下鉄(現・東京メトロ)日比谷線の脱線事故の教訓から、国土交通省が設置するよう指導していますが、義務化していないため、半径二百五十メートル以上の曲線についても設置を要求。さらには、住宅密集地など二次災害が生じるおそれのある個所を重点的に設置するよう求めていくとしています。
一九九一年の信楽高原鉄道のSKR200型車両(二七・五トン)、今回事故の207系車両(二六トン)がいずれも軽量車両で、安価でスピードアップを目的に製造されたものであり、車体フレームを強度化し、安全を確保するために、改良を求めていくといいます。
乗務員教育について、国民・利用者の命と財産を安全に運ぶ使命を持つ以上、ミスや事故を起こした事実に基づき、再発防止のために教育をおこなう必要があると強調。再教育については、会社と交渉をくり返してきたが、再発防止のために引き続き改善を求めていくと表明しています。そのさい、二〇〇二年六月に作成した「見せしめ的乗務停止をやめ、気持ちよく安全運転・サービスをするために」をもとに(1)一部にある「責任追及」型を絶滅し、「原因追及」に力点をおく(2)事実は事実としていえる風通しのよい職場風土をつくる―を提案しています。
また、技術力維持・向上策の一環として、若い社員、経験不足の社員に対する現場での教育に重点をおくとしています。
最後に、JR西日本の使命は「安全第一」であり、再発防止対策は、社員が納得して受け入れられなければ何にもならないと指摘。企業の社会的責任を果たすためには労働組合のチェック体制が必要であり、全組合が参加する「労使安全会議」で具体化をはかることを要求しています。