2005年4月28日(木)「しんぶん赤旗」

JR事故 背景に安全軽視

「経営優先」 運転士ら告発

列車遅れ 秒単位で報告求める


 JR福知山線の列車脱線事故で、集客競争のために高速・超過密ダイヤを組み、運転士には無理でも秒単位で厳守させるJR西日本の経営優先姿勢が事故の背景要因として注目されています。同社の現役・元運転士は速度も制御できるATS―P(列車自動停止装置)を経営効率から導入せず、他方で、定時走行を守れない運転士に“見せしめ”のような「教育」を受けさせるシステムの実態を本紙に証言しました。

 本紙に語ったのは、JR西日本で約二十一年の運転経歴を持つ現職運転士と、福知山線の運転経験を持つ元運転士。その話や、同社の記者会見(二十七日)によると、同社では、四月から一―二週間単位で、朝のラッシュ時に福知山線など九路線で、運転士らに一秒単位の列車遅延報告を求めていました。これを年五回おこなう、といいます。JR西日本は高速を売り物に集客しており、遅延やオーバーランの場合、運転士の「再教育」や処分もします。

 このため運転士は乗務停止、再教育を極度に恐れ、制限速度を無理に超えても遅延を取り戻そうとする――と運転士は語りました。「教育」も「制裁に近い」内容で、「さらし者にされる」といいます。

 また、現職運転士は「最新の列車自動停止装置が導入されていれば今回の事故は防げた」と指摘。「投資効果」(同社社長)で導入を遅らせた姿勢を強く批判しました。


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