2005年4月27日(水)「しんぶん赤旗」
接続優先は「義務」
JR西日本元車掌が証言
JR脱線事故
今年一月末までJR西日本に車掌として務め、JR福知山線と接続するJR神戸線で乗務していた下岡保さん(60)は今回の事故について「スピード競争のために電車の接続を最優先させる体質が会社にある」と指摘します。下岡さんの話を紹介します。
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JRは記者会見で「都市路線では明確な電車の接続は設定しておらず運転士は接続を意識していない。事故があった電車も接続のために運転士が遅れを取り戻す行為をすることはない」といっているようです。とんでもないデタラメです。
JR福知山線の快速電車は尼崎駅から地下の東西線に入り京田辺市まで行く路線です。尼崎駅ホームの向かい側には、神戸方面から大阪・京都方面へ行くJR神戸線の電車が入ります。事故の電車も二分後に大阪経由高槻行きが入って来るダイヤが組まれています。
この尼崎駅で福知山線・東西線と、神戸線の電車を接続させることはJR西日本では、半ば「義務」のようになっています。
伊丹駅でオーバーランして一分三十秒の遅れを出してしまった運転士は、遅れを取り戻すために、カーブ内でも制限速度以上にスピードをあげていたことは十分に考えられます。
国鉄「分割・民営化」以降、とりわけここ十年JR西日本は、競合する阪神・阪急など私鉄との競争に明け暮れてきました。公然と「阪急・阪神のお客様をいかにJRに奪ってくるか」を掲げ、その目玉にしてきたのが三ノ宮、芦屋両駅での普通と快速や新快速の接続、尼崎駅での福知山線と神戸線の接続によるスピード化、所要時間の短縮です。そのためには定刻通りの運行が厳しく言われ、遅れが出た場合には、スピードを上げて遅れを取り戻す「回復運転」が当たり前のように指導されています。
事故の直接の原因はわかりませんが、背景にこうした体質があったことは指摘する必要があると思います。