2005年4月27日(水)「しんぶん赤旗」
反ファシズムの精神引き継ごう
伊解放60周年に10万人、大統領演説
【パリ=浅田信幸】イタリアのファシズムからの解放六十年を記念する集会とデモが二十五日、北イタリアのミラノで行われ、イタリアの解放に功績のあった都市やパルチザン協会、労組、左翼諸党の指導者をはじめ十万人が参加しました。
六十年前のこの日、ナチス・ドイツの占領と独裁者ムッソリーニかいらい政権(サロ共和国)の支配下にあった北イタリアで、ファシズム・ナチズムの支配に反対するレジスタンス組織「国民解放委員会」が国民的蜂起を決行。連合軍の到着に先立って自力で北部諸都市を解放しました。この運動は戦後、戦争放棄や民主主義を明記したイタリア共和国憲法に実りました。
現地からの報道によると、ミラノ大聖堂前広場での集会で演説したチャンピ大統領は、反ファシズム抵抗運動に多くの国民が参加した意義を強調しました。
同大統領は、「甚大な犠牲を払ってイタリア全土を解放したのは連合軍だけではなかった。解放にはイタリア国民の貢献が決定的だった」と指摘。反ファシズム抵抗運動にあらゆる階層の国民が命をかけて加わったことは、「われわれの民主主義的良心を示したものだ」と述べました。
その上で、「ナチスによる占領とファシズム独裁とのたたかいは、万人のための平等な諸権利に基づく新しい国家の礎を確立するたたかいでもあった」と強調しました。
同大統領は最後に、「われわれが経験した戦争や悲劇の記憶、自由のために命を落とした人々の記憶を決して失ってはならない」と述べ、反ファシズム運動の精神を将来も引き継ぐよう国民に呼びかけました。
同日午前中にはローマで公的な記念式典がおこなわれましたが、右派連合与党の国民同盟と北部同盟は出席を拒否。またベルルスコーニ首相はこれには出席しましたが、午後のミラノの大衆集会には参加せず、野党や集会デモ参加者から強い批判の声があがっています。中道左派連合ユニオンの指導者プローディ前欧州委員長(元首相)は「与党の主要勢力が解放と民主主義のこの祝日を認めないというのは、まさに懸念すべきことだ」とのべました。