2005年4月27日(水)「しんぶん赤旗」
米軍施設に約2兆円
27年間で 「思いやり」予算注ぐ
家族住宅1万戸超
赤嶺議員調査で判明
日本政府の「思いやり」予算による在日米軍施設の建設が一九七九年度に始まってから二〇〇五年度までに一万二千七百四十七件(予算総額一兆九千八百十二億円)にのぼることが、防衛施設庁の資料で分かりました。家族住宅が一万一千二百八十三戸に達するなど、莫大(ばくだい)な日本国民の税金を使って米軍のためにいたれりつくせりの施設建設を進めてきた実態が示されています。
資料は、在日米軍への「施設別・項目別提供施設整備一覧」。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の要求で防衛施設庁が提出しました。「思いやり」予算で施設が建設されたのは六十六基地。施設の種類は、家族住宅や学校、運動施設から滑走路、艦船用岸壁などの作戦関連施設まで六十七項目にわたります。
件数(戸数)が最も多いのが家族住宅で予算総額もトップ(表)。多くの米軍基地で造られている標準的なアパート・タイプで一戸の間取りは「三つの寝室、二つの浴室、広々としたキッチン(台所・食堂)、ポーチ(玄関)、洗濯室」(米軍準機関紙「星条旗」四日付)というぜいたくさです。
十八―二十五人学級を前提にしている学校は三十五校(予算総額四百三十一億円)が建設され、プールや野球場、体育館などの運動施設の建設は四十九カ所にのぼります。
作戦関連施設では、在日米軍再編で空母艦載機部隊とNLP(夜間離着陸訓練)の移転が検討されている岩国基地(山口県)で、新滑走路建設のための沖合拡張工事の予算総額がすでに千七百三十四億円に達していることが分かりました。
基地別では、最も建設件数が多いのは三沢基地(青森県)で二千二百十三件。次いで横田基地(東京都)千四百三十件、牧港補給基地(沖縄県)千二十九件、横須賀基地(神奈川県)九百四十九件の順になっています。
建設数の上位10施設
件数 予算総額(億円)
(1)家族住宅 1万1283戸 5392
(2)隊舎 216棟 2031
(3)管理棟 186棟 1276
(4)倉庫 166棟 988
(5)工場 153棟 1043
(6)ユーティリティ 66カ所 1321
(7)貯油施設 55カ所 655
(8)運動施設 49カ所 322
(9)航空機掩体 46基 411
(10)厚生施設 45棟 555
(注)管理棟は司令部棟など。ユーティリティは水や電気などの供給施設。航空機掩体(えんたい)は敵の爆撃に備えた戦闘機のシェルター。
「思いやり」予算
一九七八年度に米軍基地の日本人従業員の労務費を負担したのが始まりです。七九年度以降、施設建設費、水光熱費、訓練移転費と対象を拡大。二〇〇五年度予算では二千三百七十八億円(うち施設建設費は六百八十九億円)となっています。基地提供を除き在日米軍の維持経費は米側がすべて負担するとした日米地位協定にも違反するものです。