2005年4月24日(日)「しんぶん赤旗」

主張

NPT会議へ

ひろがる核兵器廃絶の流れ


 核不拡散条約(NPT)再検討会議が五月二日から始まります。アメリカが核軍縮問題での進展を妨害するもとで、今も議題が決まらず、会議の推移が危ぐされています。このなかでアメリカの対応を批判し、核兵器廃絶を求める動きが新たな広がりを見せていることは重要です。

拡散問題も廃絶でこそ

 前回二〇〇〇年の再検討会議で核保有国も同意した、核兵器廃絶の「明確な約束」など核軍縮合意を実行すべきだ―こういう提言や声明が、会議を目前に、相次いで発表されています。注目されるのは、核兵器拡散を防ぐためにも核兵器廃絶を、という声が高まっていることです。

 日本原水協は、「各国政府への提言」を発表し、「約束」の実行、核兵器全面禁止条約のための行動などを求めています。アメリカは、自らの核兵器保有を正当化する一方、他国の保有を阻止するとして核兵器使用計画や「使いやすい核兵器」の開発さえ進めています。「提言」は、そのような政策と行動こそ核拡散の危険を増大するものであると批判。拡散を防ぐためにも核兵器廃絶がもっとも確実な保障だと指摘しています。「世界平和七人委員会」のアピールも、核保有国が「率先して核廃絶への具体的な道筋を示すことこそ、何よりの核拡散防止策」と強調しています。

 NATO諸国では、二〇〇〇年合意の実行を求める新アジェンダ連合の国連決議への支持が広がり、注目されました。さらに英仏を含む欧州議会や、NATO本部のあるベルギー上院外交防衛委員会でも、核軍縮合意の前進を求める決議が採択されました。

 米国内でも批判が広がっています。カーター元米大統領は、「NPTの侵食を招いている主因は米国」とブッシュ政権の核戦略を批判する小論を発表し、オルブライト元国務長官などは米国の核軍縮義務を指摘する声明を発表しました。最近の米国民の世論調査では66%の人が、アメリカを含め、どの国も核兵器を持つべきでないと回答し、核兵器によって拡散を阻止し、安全を保障するという考えが、米国内でも通用しないことを示しました。

 ところが米政権はNPT会議にむけ、二〇〇〇年合意を反故(ほご)にする発言をくりかえす一方、拡散問題への懸念の広がりを利用し、米国への批判や要求をかわそうとしています。ブッシュ大統領のNPT声明も、「ならず者国家」の核兵器保有阻止が最重要課題だ、原子力の平和利用についても「抜け穴をふさぐ」ための「強力な行動」が必要だと主張していました。「大量破壊兵器拡散の脅威」をなくすには核兵器使用も辞さずという先制攻撃戦略を、原子力の平和利用にまで対象を拡大しかねません。一方、核軍縮の義務は守っていると、二〇〇〇年の合意は無視しました。しかしアメリカがいかに「拡散の脅威」を強調しようと、その道理のない危険な企てを正当化することはできません。

被爆国民のねがい背に

 核兵器のない世界を現実のものとする上で、世論と運動の発展がますます重要です。NPT会議要請代表団に予定の三倍近く、多くの青年を含む八百人以上が参加する日本原水協は、核保有国への要請とともに、核兵器廃絶のために活動する各国の政府、自治体、反核平和運動との共同・連帯を深め、いっそうの運動強化の契機にしようとしています。草の根の活動と国際政治とを結ぶ活動の豊かな前進が期待されます。


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