2005年4月20日(水)「しんぶん赤旗」

韓国 申告が11万件

強制連行

受付2カ月 戦前の日本による被害


 日本による植民地支配下の強制連行を調査している韓国政府の「強制動員被害真相究明委員会」は十一日、被害者本人と遺族からの被害申告数が、二月一日の受け付け開始から二カ月あまりで十一万二千七十二件に達したと発表しました。調査対象は、日本が中国侵略戦争を開始した一九三一年九月十八日の柳条湖事件(いわゆる満州事変)から四五年八月十五日の太平洋戦争終戦後の時期まで。

 被害の内訳は軍人二万二百四十二人、軍属一万四千百五十六人、「慰安婦」百九十五人、強制労働七万七千四百七十九人。また、朝鮮半島内での連行が一万三千二百九十二人、朝鮮半島外への連行が九万八千七百八十人です。

 委員会は十七日、被害者として九人を認定し、「今後、ハンセン病患者の強制労働、広島・長崎での原爆被害、サハリンへの強制連行などについても調査する」と発表しました。六月三十日の申告締め切りまでに、申告数はさらに増えるとみられています。

 強制連行被害については、六五年の日韓国交正常化にあたり締結された請求権協定で「完全かつ最終的に解決された」とされました。この後、朴正熙・軍事政権は日本からの「経済協力」資金をもとに、七五―七七年に八千五百人の遺族に対してのみ一人あたり約三十万ウォン(現在の約六百万ウォン=約六十万円)を支給し「補償」を終えていました。

 今回の調査は昨年三月、与野党議員の共同提案で制定された真相究明特別法に基づくもの。同法は「これまで政府は正確な被害調査や真相究明をほとんどしなかった」とし、「真相を究明し、被害者の人権を回復して歴史の真実を明らかにし、平和増進に寄与する」ことを目的にしています。


 強制連行 日本政府は、一九三九年の「国民徴用令」に基づき、当時日本の支配下にあった朝鮮や台湾の人々を日本本土に強制連行し、鉱山などで過酷な労働に従事させました。その規模は戦前の政府資料から百五十万人とする試算があります。韓国国会では昨年三月、被害者数は朝鮮半島内部や戦地に連行された人々も含め七百九十四万人と報告されています。九三年、当時の河野洋平内閣官房長官談話で日本政府は強制連行の事実を公式に認めています。


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