2005年4月19日(火)「しんぶん赤旗」
強制収容所解放60周年
ドイツ3カ所で集会
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【オラニエンブルク(ブランデンブルク州)=片岡正明】ナチス・ドイツがユダヤ人や占領した国の国民などを強制労働に従事させ、虐殺したドイツの三つの強制収容所跡で十七日、解放六十周年記念集会がおこなわれました。三つの収容所では合わせて四十五万人以上が収容され、十数万人が命を落としたといわれています。参加した政治家や収容所の生存者は二度とホロコースト(ユダヤ人皆殺し)を許さない決意と極右勢力台頭への警戒を訴えました。
将来も過去との向き合いが必要
外相が宣言
ベルリンの北三十キロのブランデンブルク州オラニエンブルクのザクセンハウゼン強制収容所跡では、フィッシャー外相が「外国人敵視、人種差別主義、反ユダヤ主義とは法律を駆使して断固としてたたかう」と宣言。同外相は将来の世代にナチスの恐ろしい犯罪を伝えるために、「真剣に過去と向き合うことがどんなに痛みを伴うとも必要なことだ」と訴えました。また、「ドイツの外交政策もナチの犯罪に対する歴史的倫理的な責任にもとづいておこなわれている」と語りました。
生存者訴え
十歳の少年としてザクセンハウゼン収容所生活を体験した生存者の一人のトーマス・ブルゲンタル氏は「ナチのホロコースト後、カンボジア、ルワンダ、スーダンのダルフールで大量虐殺を許してしまった。次のジェノサイドは許すことはできない」と訴えました。
同州北部の女性の収容者が中心だったラーフェンスブリュック収容所跡では、シュミット家庭相が「ドイツではいつでもナチス・ドイツとホロコーストの体験からの教訓を生かしきれているわけではない」と、極右勢力の台頭に警告しました。
アンネの日記で知られたアンネ・フランクが死亡したベルゲンベルゼン収容所跡(ニーダーザクセン州)ではドイツ・ユダヤ人中央評議会のシュピーゲル会長が「人種差別主義、反ユダヤ主義にこちらから攻勢を」と呼びかけました。
三カ所の収容所の記念集会には元収容者約千二百人のほか、ドイツや海外から青年や市民数万人が参加。ラーフェンスブリュックでは遺体を投げ入れた巨大な穴をつくりかえた記念の池に、参加者がバラを投げ入れ犠牲者をしのびました。