2005年4月14日(木)「しんぶん赤旗」
偽造カード対策 障害者に配慮
生体認証、代理人も可
佐々木議員に全銀協会長
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偽造キャッシュカード対策で各銀行がICカードや手のひらの静脈などで本人を確認する生体認証導入を進めるなか、視覚障害者らには使えなくなるなどの不安が広がっています。十三日の衆院財政金融委員会で、参考人の西川善文・全国銀行協会会長は、日本共産党の佐々木憲昭議員の質問に「障害者を含め、だれにでも使えるということを念頭において検討していきたい」と答えました。
障害者手当などの支給は銀行振り込みです。ATM(現金自動預払機)の利用は生活の上で欠かすことはできません。しかし、画面が見えなかったりして、ヘルパーなどの助けを借りて利用しています。生体認証になれば、ヘルパーに頼めなくなる、という不安が広がっています。
「東京視力障害者の生活と権利を守る会」の山城完治事務局長は「偽造カード対策でシステムが進んでいくと使えなくなるという不安がある」と話します。
この日の委員会で佐々木議員は、「偽造キャッシュカード問題への対応について」とする金融庁の文書(二月発表)で、「高齢者や身体障害者を含む顧客の多様なニーズに配慮することが必要」としていることを提示。「新しいシステムを導入するときに高齢者、障害者に使いやすいものにすることを念頭におくことが必要ではないか」と問いました。
西川会長は、「ICカード内に複数の生体(情報)を登録でき、代理人による使用も可能にするケースがある。障害者を含め、だれにでも使えるということを念頭において検討していきたい」と答弁しました。山城事務局長は、「複数人登録できるということを聞けてよかった」と話していました。
不正引出し救済
盗難保険も選択肢
偽造と異なる対応示唆
西川善文全国銀行協会会長は十三日の衆院財務金融委員会で、キャッシュカード盗難による預金の不正引き出し被害救済手段として「金融機関が盗難保険を付保することも選択肢だ」と語りました。日本共産党佐々木憲昭議員の質問に答えたもの。
西川会長は「盗難被害の状況はさまざまで、過失の度合いに応じて補償のあり方も異なる」と述べ、銀行側が原則補償する偽造カード被害とは異なる対応を取る考えを示唆しました。
また、偽造被害は過去の被害を含めて全額補償する意向を表明。「(補償対象としない)預金者の責任があると立証できるケースは本当に限られたものになる」とし、被害の大半が補償対象になるとの認識を示しました。
しかし、西川会長は、盗難通帳については語らず、盗難・偽造キャッシュカード被害者の会「ひまわり草の会」の中林由美江代表は「預金の全体の安全対策としてこの問題を考えていない」と話しました。