2005年4月14日(木)「しんぶん赤旗」
「人身売買」罪 ようやく新設へ
求められる被害者保護の強化
刑法等改正案国会審議入り
諸外国から「人身売買」の受け入れ大国と批判される日本―今国会で「人身売買」を禁止、被害者を保護する法案が提出され参院で審議が始まっています。
国際的批判も
「人身売買」とは、海外から女性や子どもを売春強要や強制労働などの目的で送りこむことです。日本でいま特に目立つのは、日本に行けば仕事があるとブローカー(あっせん業者)の手引きで入国させ、渡航費用に数百万円かかったとして本人に借金を負わせて風俗産業などで働かせるという手口です。
ところが日本では、「人身売買」の加害者には入国管理法や職業安定法、売春防止法などが適用されるだけで、肝心の「人身売買」そのものを処罰する法律がなく、国際的にも批判をうけてきました。
一方、「人身売買」被害者は、本来は保護される対象なのに、多くが不法滞在、不法就労、売春防止法違反などで、犯罪者扱いをうけ、退去強制処分になっています。
今回、法改正してこれらの点が改められます。
刑法を改正して「人身売買」罪を新設(「受渡し」、「買受け」行為の処罰)、法定刑の上限を引き上げます。
出入国管理及び難民認定法を改正して、「人身売買」被害者を退去強制の対象から除き、基本的に在留資格を認めます。
体制の強化を
被害者保護や帰国支援事業も強化されます。
同時に、今回の法改正でも「被害者が十分に保護されない」と、「人身売買」根絶と救済にとりくむ市民団体などから声があがっています。
被害者は保護を受ける権利があることを明確にした上で、国・地方自治体に被害者保護の責務を課すことが必要です。国による基本計画、都道府県による実施計画の策定も求められます。
被害者の保護には各都道府県に設置されている婦人相談所が活用されます。しかし、DV(配偶者からの暴力)被害者への対応で手いっぱいであり、ここに通訳や専門スタッフを配置するなど体制を抜本的に強化することが必要です。
早急な法整備共産党は要求
日本共産党は「人身売買」は最悪の人権侵害として、早急に法整備すべきだと求めてきました。
昨年六月には七議員の連名で「人身売買に関する質問主意書」を政府に提出。そこでは▽「人身売買」の実態と対策▽人身売買を犯罪として処罰するための法整備▽被害者への援助・保護▽摘発のための国際協力―などについてただし、対策を求めました。