2005年4月11日(月)「しんぶん赤旗」
サラ金広告 千葉マリン
“退場”
ファン歓迎 「市民球団のいい選択」
党議員の要請実る
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今年四月に入り、プロ野球・千葉ロッテマリーンズの本拠地、千葉マリンスタジアム(千葉市美浜区)からサラリーマン金融(サラ金=消費者金融)の広告が消えました。同スタジアムはこのほど、球場内の広告のうち、サラ金武富士との契約を打ち切り、「今後、消費者金融の広告は掲載しない」ことを明らかにしました。同スタジアムには二〇〇二年十二月、地元の日本共産党議員が「サラ金広告はやめてほしい」と要請を行っており、それが実った形です。
テレビの“一等地”
千葉マリンスタジアムで「武富士」の大きな広告があったのは、バックネット下の位置。ここは、テレビ放映で一球ごとに映し出される“一等地”で、「広告収入の柱」(同スタジアム)ともされる場所です。
しかし、三月末で武富士との三年契約が終了したことから、同スタジアムでは、同社との新規契約は見送り、合わせてどの消費者金融とも広告契約を結ばないことを決めました。
バックネット下の広告は四月一日から、家電量販店のものに切り替わっています。
三十年来のロッテファンという中村亘さん(42)=千葉市在住=は「武富士の看板は、テレビだと、とくに目立っていて、なんとかならないかと気になっていました。市民球団の球場として本当にいい選択をしてくれた。これからも、市民だれもが応援したくなるような環境をつくってほしい。それが球団の将来を支えていくことになると思います」と顔をほころばせました。
「赤旗」連載使って
マリンスタジアムが、サラ金広告をやめるきっかけとなったのは二年ほど前。日本共産党の小松敦県議、木田文代市議らが球場を訪れ、「しんぶん赤旗」の「スポーツ界 侵食するサラ金」連載を示し、「スポーツ施設という公共的な場所でサラ金広告はふさわしくない。規制を考えてほしい」と要請したことでした。
この連載では、スポーツ界にサラ金広告が急増している実態とともに、この業界が、スポーツのさわやかなイメージを利用し、みずからのダーティーさを隠そうとする狙いを暴露。プロ野球では八球場にサラ金広告がはんらんしていることを明らかにしています。
当時、同スタジアムの丸山金二郎社長は「まだ契約途中ですぐに解約はできないが、新規契約はしない。趣旨は十分理解できるので、よく考えながら対応したい」と話していました。
千葉市との第三セクターで運営されているマリンスタジアムはその後、市側とも協議を重ねるなかで、今回の結論にいたりました。
同スタジアムの羽田政幸営業課長はこう話します。
「武富士さんの条件がいいものでしたので、収益面で痛いことはたしかです。しかし、同社は社会的な事件を起こし、消費者金融自体も問題性を感じていました。高校野球のときには、この部分を隠して試合をしていた経緯もあります。共産党さんからの要請を契機に、市とも総合的に検討し、公共施設としてふさわしい判断をしました」
5つの球場に拡大
背景には東京ドームが二年前、四社あったサラ金広告をすべて撤去したことも大きく影響しています。
その東京ドームが撤去へ動いた理由の一つは本紙の先の連載でした。これを目にした球団幹部から本紙に手紙が寄せられ、「サラ金侵入に驚きました。(球場には)サラ金広告を撤去するよう要望しました」とありました。
現在、サラ金が「社会通念上問題がある業種」などとして広告を掲示していないプロ野球本拠地は、神宮、甲子園、広島を含め、これで五球場となりました。
子どもたちの環境改善
木田文代・千葉市議の話 私たちが要請したときには、「すぐには無理だが、新規契約はしない」ということでした。テレビ中継で一番目立つところでしたので、約束通りなくしてくれて、本当によかった。野球を見にいく子どもたちにとってもいい環境が整えられたと思います。
最近も、千葉マリンスタジアムのホームページにサラ金広告があるという市民の指摘を受け、市にかけあいました。市側もすぐに対応してくれました。この問題は市民の関心も高いと感じています。