2005年4月9日(土)「しんぶん赤旗」

福岡西方沖地震

志位委員長、被災地を訪問

玄界島民・被害マンション住民と懇談


 日本共産党の志位和夫委員長は八日、福岡県西方沖地震で大きな被害を受けた被災地を視察。現在でも余震が続く玄界島に残留して復興にあたる漁業関係者らと懇談した後、多くの島民らが避難している九電記念体育館と建物に大きな被害がでた福岡市中央区の高層マンションを訪れ、被災住民を見舞いました。

 (佐藤高志)


漁業被害対策が必要

玄界島

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玄海島から避難している人たちを激励する志位委員長(左端)と仁比聡平参院議員(その奥)、山田ひろし衆院福岡2区候補(その右)=8日、福岡市、九電記念体育館

 島民の八割が漁業関係者の玄界島では三月から六月にかけてハマチの一本釣りが最盛期を迎えています。この時期の漁獲高は年間の四割を占め、漁民の大きな収入源になりますが、漁業の再開はいまだなされていません。また、県発表によると玄界島では二百二十五棟のうち百二十七棟が全壊し、残りの家屋もほとんどが半壊(五十五棟)、一部損壊(四十三棟)という状態。島では早期出漁や生活再建に向け、仮設住宅の建設(島内百戸、本土側百戸)が急ピッチで進められています。

 福岡市漁業協同組合玄界島支所の久保田徳男副会長らは、桟橋で志位氏らを迎え固く握手。久保田副会長らの案内で島内を訪問しました。久保田副会長は懇談で、「個人の家屋被害に公的な復旧支援をなんとしてもお願いしたい。漁業被害も五月から漁を再開しても、二億円から三億円の損害になる」と訴えました。

 志位氏は、住宅本体の再建への公的支援制度の確立や産業基盤である漁業被害への対策が必要と指摘。阪神・淡路大震災以来、個人補償の実現を求め国の支援制度を拡充させてきた経緯などを紹介しました。また、志位氏は、「地域のコミュニティーを維持する形で島の復旧を考えることが大切ですね」と述べ、島民の合意に基づいた島の復興を強調しました。

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玄海島に入り、島民の案内で地震の被害を視察する志位委員長(左手前)ら=8日、福岡市西区、玄海島

 また、玄界島の住民四百四十人、百九十世帯余りが避難している九電記念体育館では、志位氏らが住民一人ひとりと言葉を交わして激励。住民らは、本震から十九日目を迎えてなお、避難所暮らしを強いられています。志位氏の激励に、あるお年よりの女性は、「全員が島に帰れるよう、よろしくお願いします」と手を握り締めて声を震わせていました。

 九電体育館に避難している寺田到・玄界島自治会長の勧めで、マイクを使ってあいさつをした志位氏が、「個人の住宅再建のための支援を国に要求していきたい」と訴えると大きな拍手がわき起こりました。

 訪問には、日本共産党の仁比聡平参院議員、山田ひろとし衆院2区候補、田村貴昭衆院比例候補らが参加しました。

マンション被害 実態にあった認定を

 離島・漁村被害に加え、福岡市内の高層マンションにも大きな被害が出たのが今回の地震の特徴です。倒壊にはいたらなくても、マンションの外壁にX字の亀裂が入り、鉄筋がむき出しになる被害を受けた同市中央区の高層マンションで、志位和夫委員長は被害住民と懇談しました。

 阪神・淡路大震災後に建設された耐震マンションにもかかわらず、大きな被害が生まれたことに、住民からは、設計や建設への基準を疑問視する声や補修費用の負担への不安があがっています。

 自宅の小梁(はり)に亀裂が入った田添加代子さん(57)は、「自宅に住めない状態が続いている。一時避難を余儀なくされているが、ずっとそこに住むわけにはいかない」と不安を訴えます。また、別のマンションの七十二歳の女性は、「ついの住み家にと、ローンを組んでマンションを購入したばかり。まだ、ローンが残っているのに、この上、修繕費などを負担したら年金暮らしの私たちはとても食べていけない」と涙ながらに訴えました。

 志位氏は、被害の状況をつぶさに聞いてまわるとともに、「外観からの調査だけでなく一戸一戸の状態を見て、行政に被害認定をさせることが必要。都市型被害の実態にあった対策を取るよう国に求めていきたい」とこたえました。


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