2005年4月8日(金)「しんぶん赤旗」

主張

米機の普天間帰還

またも危険にさらされる県民


 イラク戦争に参加した米海兵隊のヘリ二十二機が普天間基地(沖縄県宜野湾市)に戻ってきました。ヘリは七日現在で三十三機、基地は再び墜落の危険と爆音の元凶です。イラクで攻撃作戦をおこなっている二十機が戻れば、従前と変わらない「世界一危険な基地」です。

市街地の上空で訓練

 普天間基地から出動したヘリ部隊は、第三一海兵遠征部隊(31MEU)の二千人とともに、ファルージャでイラクの多くの一般市民を殺りくし家屋を破壊しつくしました。海兵隊員も約五十人が死亡、二百二十一人が負傷しました。在沖米海兵隊報道部は、海兵隊を「英雄として歓迎してほしい」とのべ、帰還兵の犯罪を心配する県民の神経を逆なでしました。ベトナム戦争時に、帰還兵がおぞましい犯罪をおこしたことを県民は忘れていません。同海兵隊外交政策部長の「沖縄は31MEUの故郷」発言にも反発が広がりました。

 それでもなお、在沖米海兵隊は、「今後の飛行は必要な訓練および任務に応じておこなう」と訓練飛行の継続を、早々と発表しています。普天間基地から県北部の訓練場などを往復するだけでなく、宜野湾市街地上空を訓練空域に見たてて低空飛行を今後も続けるというのです。

 人口八万人の宜野湾市民は、再び、米軍ヘリの墜落の危険と隣り合わせの生活を強いられます。沖縄県は、「普天間飛行場の危険性が元に戻ることになり、到底容認できない」と米軍と政府に申し入れました。伊波洋一宜野湾市長は、「墜落の危険を沖縄に持ち帰ることは、県民を完全に無視する暴挙」と抗議しています。

 米軍が、日米両政府が約束したヘリ墜落事故の再発防止策を作成もしていないのに、ヘリ部隊を帰還させたことも重大問題です。

 日米安保条約の協議機関である「日米合同委員会」は二月に、昨年八月の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故にかんする報告書を承認しました。報告書は、同委員会の下部機関である事故分科委員会が作成したもので、墜落事故が、部品が正しく装着されていなかったという不十分な結論を出す一方、再発防止策として、「(飛行)経路を再検討し、更なる可能な安全対策について検討を行う」ことを勧告しました。

 普天間基地のヘリは宜野湾市街地上空のいたるところを飛び回るため、どこも危険地帯です。このため宜野湾市民は、「ヘリは市街地上空を訓練飛行するな」と要求してきました。「経路の再検討」はこの要求にそっておこなわれるのかどうか重大関心事です。しかし、政府は、経路の再検討は、「現在検討中」(三月三十日衆院外務委員会)で、結論はでていないというのです。これでは、米軍ヘリはこれまで通り市街地上空を勝手放題に飛行します。

 日米両政府がみずからの約束を破って、危険な訓練飛行を継続させるなど許せることではありません。

基地撤去しかない

 昨年のヘリ墜落事故は、基地ある限り死と隣り合わせの恐怖をまざまざと示しました。米軍再編協議のなかで取りざたされている普天間基地のヘリや空中給油機などの県内外へのたらい回しは、「危険」の分散でしかありません。基地の管理権を自衛隊に移して有事のさいに現在同様の使用を許す案などは、普天間基地の恒久化の措置にすぎません。

 いま重要なことは、沖縄県民の願いにそって、普天間基地を撤去することです。


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