2005年4月5日(火)「しんぶん赤旗」
「地球上いずこにも」介入
自民党 新憲法起草委が要綱
自民党の新憲法起草委員会は四日、党本部で小委員長会議を開き、十分野の小委員会の議論をふまえた改憲試案に向けた要綱を決定しました。
要綱は、「自衛隊」ではなく「自衛軍保持」と明記。「自衛軍は国際の平和と安定に寄与する」として、海外での武力行使を正当化しています。武力行使の具体的要件にかかわる非常事態、安全保障基本法、国際協力基本法などは検討事項にとどめました。
また、前文で「地球上いずこにおいても圧政や人権侵害を排除するため不断の努力を怠らない」ことを「国の目標」に設定。海外での軍事介入に道を開く内容となっています。
国民の権利・義務については、これまでの「公共の福祉」を、「国家の安全と社会秩序を維持する概念」として「公益」または「公の秩序」に置き換えると記述。“お国のため”に権利制限がありうることを大原則にしています。
そのうえで青少年の健全育成を口実に「表現の自由」を制約。「結社の自由」では「暴力的破壊活動を行う結社」の制限を打ち出しています。これは、「破壊活動」とは無縁な政党・団体への謀略活動の根拠となってきた治安立法・破壊活動防止法の考え方を憲法にもちこむもの。
また、「国防」「社会保障費用負担」「家庭保護」などで新たな「責務」を課します。
このほか前文で日本について「天皇とともに歴史を刻んできた」などを記述。憲法改正要件を緩和し、発議を「各議院の総議員の過半数の賛成」で可能とするよう提案しています。
同党起草委員会は、要綱をもとに四月中に試案を策定。首相経験者や学識経験者、財界、労働団体の代表らからなる「諮問会議」(仮称)を発足させ、さらに検討を加えた上で十一月へ向けて条文化を図る予定です。