2005年4月2日(土)「しんぶん赤旗」
伊、300人撤退表明
イラク駐留
「米英の合意」条件で9月に
【パリ=浅田信幸】イタリアのベルルスコーニ首相は三月三十一日、国営テレビで、「米英の合意があれば」の条件付きながら、九月に三百人の兵士をイラクから撤退させる計画を改めて明らかにしました。
同首相は「八月末までに数千人のイラク人治安部隊が結成され、特定の部隊は不要になる。連合軍とイラク政府の合意があれば、九月から三百人の部隊を撤退させる計画がある」と述べ、米英と交渉中であることを示唆しました。
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イタリアは、二〇〇三年六月から派兵し、現在イラク南部に約三千三百人を配備しています。
ベルルスコーニ首相は三月半ばにも九月からの段階的撤退を表明、米英の圧力で翌日には「たんなる期待の表明だ」と後退。「国家の国際的信頼を損なった」と野党やメディアから批判を浴びていました。
今回の発言は、三、四日投票の地方選挙を意識したものとみられます。 十四州(全二十州)の知事・州議会の改選をはじめ三百六十七市町村で実施される今回の地方選挙は、有権者が四千二百万人の大型選挙であり、一年後の総選挙の行方に影響を与えるものとなります。
改選される州知事は現在、ベルルスコーニ首相の与党・中道右派連合が八に対し、プローディ前欧州委員長(前首相)を指導者とする中道左派連合が六。世論調査によれば、これが逆転する可能性が強いと予測されています。
三月初め、イラクのバグダッドで、拉致から解放された直後のイタリア人女性記者が米軍の銃撃を受けて負傷、車に同乗していた情報機関員が死亡する事件がありました。イタリアはもともとイラク戦争反対の世論が強く、この事件を機にイラク撤退の声が再び高まり、政府の対米一辺倒の外交に批判が強まっています。