2005年4月2日(土)「しんぶん赤旗」

国会の視点

社会保障両院合同会議設置

消費税増税反対 排除の狙い


 社会保障見直しを協議する衆参の両院合同会議の設置が、一日の両院本会議で決議されました。日本共産党は反対しました。この間の経過から問われているのはなにかをみました。


□三党合意

 今国会で議論が続いてきた社会保障制度全般について検討するための政党間協議という問題は、昨年五月六日の「三党合意」に端を発するものです。

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自民、民主、公明三党が社会保障制度見直しについて一致した昨年5月6日の「三党合意」

 自民・安倍晋三、民主・岡田克也、公明・冬柴鉄三の三幹事長(いずれも当時)が署名を交わした「合意」は、「百年安心」の看板がはがれた政府・与党の改悪年金法の衆院通過を認め、「年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的見直し」を行うことで合意。これにもとづく三党法案修正で「社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直しを行」うことを盛り込みました。明らかに消費税大増税に道筋をつけようとするものです。

 しかし、社会保障財源を口実に、最悪の福祉破壊税である消費税を引き上げるという路線は、国民の声に背をむけるものです。直近の世論調査でも消費税増税反対は72%(日本世論調査会、「東京」三月十三日付)にのぼります。

 自公民三党協議が暗礁に乗り上げた状態が続いたのは、根底にこの事実があったからでした。

□五党会談

 転機は三月十七日でした。民主党が自公にたいし「『国会における議論の場』の必須要件」という新しい提案を示したのです。三党に加え、共産、社民の参加を「『議論の場』設置の前提」とするというものです。民主党は同日、共産党にも協力を求めました。

 これを受けて行われた三月二十五日の五党幹事長・書記局長会談。日本共産党の市田忠義書記局長の提起で、(1)「三党合意」を前提としたものではないこと(2)多数決で議決をしたり国会の審議を拘束したりするものではない――という二点を五党で確認しました。

 「三党合意」にしばられない協議が確認されたことにより、国会で多数をにぎる自公と民主の「二大政党」が増税で一致しているとはいえ、国民のなかでは多数である消費税増税反対の声をこの政党間協議に反映させることが、はじめて可能になりました。さらに確認は、協議の結果を「二大政党」の多数でおしきり、強引にまとめあげるようなやり方にも歯止めをかけました。

□巻き返し

 しかし、自公民三党がすすめた国会決議、要綱づくりでは、巻き返しが起こりました。

 要綱では、合同会議の運営を決める幹事会で、自公民だけを幹事とし、共産、社民は議決権のないオブザーバーとする仕組みがごり押しされました。

 これは、五党幹事長・書記局長による「議論の場の構成、運営は、五党議員による議論が円滑に行われることを担保する」とした合意と、「多数決で決めることはしない」という確認に反する、まったく道理のないものです。

 三月三十一日の五党の政策担当者・議院運営委担当者の会談で、このオブザーバー扱いについて公明党の遠藤乙彦議院運営委担当者は「(共産、社民に)拒否権を与えることになり困る」とのべ、意見の違う日本共産党の発言権を抑えようとする狙いをあけすけに語っています。

 社会保障という大きな問題を扱う政党間協議は、五党合意にのっとり、民主的なルールにしたがって行われるべきです。消費税増税反対の民意を排除する偏ったものとなるなら、国民の強い批判を受けることは必至です。

 (竹腰将弘)


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