2005年3月31日(木)「しんぶん赤旗」
武富士の提訴「違法」
東京地裁 「言論抑圧」に賠償命令
サラ金大手「武富士」が同社の違法業務を指摘した書籍で名誉を傷つけられたとして、執筆に加わった弁護士らを相手に損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁は三十日、武富士側の請求を棄却し、同社の提訴は「違法」だと認める判決を言い渡しました。弁護士側は「提訴は言論弾圧のためで違法」として同社と武井保雄前会長(75)に賠償を求めて反訴していました。
藤山雅行裁判長は「武富士の提訴は、請求が認められる余地がないことを十分知りながら、あえて批判的言論を抑圧する目的で行われたもので、違法だ」と認定。同社側に四百八十万円の支払いを命じました。
武井前会長についても「説明責任を負っているのに尋問期日に出頭せず、不誠実な態度だ」と批判しました。
武富士側の請求について、同裁判長は「書籍の記述の大部分は真実であり、名誉棄損は認められない」と指摘。返済義務のない人から取り立てようとする「第三者請求」については「記載の趣旨のとおり、社会通念上、十分非難に値する行為があったと認められる」と指摘しました。
弁護士らによると、武富士側が起こした名誉棄損訴訟が違法とされるのは初めて。新里宏二弁護士は「判決は、武富士の白を黒とする体質、前会長の責任を認めた。名誉棄損訴訟で大企業が言論妨害することに抑止効果を生む判決で、画期的だ」と評価しました。
武富士が問題としたのは、新里弁護士、今瞭美弁護士らが執筆に加わり、「同時代社」が二〇〇三年四月に発行した『武富士の闇を暴く』。武富士が社員に過酷なノルマを課し、違法な取り立てをしていると告発しました。
武富士は、今氏ら弁護士三人と出版元を相手に五千五百万円の賠償と出版差し止めを求め、今氏らは同社と武井前会長に三千万円の賠償を求めていました。