2005年3月28日(月)「しんぶん赤旗」
“憲法音頭で盆踊り”
幻の曲 サトウハチロー作詞 中山晋平作曲 紹介・普及
長野・中野市九条の会
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「古いすげ笠 チョンホイナ さらりとすてて 平和日本の 花の笠…」幻の曲といわれる「憲法音頭」のレコードの歌声が流れました。長野県の「憲法九条を守る中野市民の会」(略称「中野市九条の会」結成のつどい=十九日)でのことです。
この曲を紹介した同会事務局長の馬島直樹さん(74)は、「十二年前に戦争展の準備をしていたときにこの曲のことを知りました。芦田均元首相が中心になってつくった憲法普及会が、サトウハチローに作詞を、中山晋平に作曲を依頼し制定しました。憲法公布後の一九四六年十二月に結成された普及会が多くの国民に新憲法を普及しようとしておこなった活動の一つです」と説明します。
作曲をした中山晋平は中野市出身。「カチューシャの唄」「シャボン玉」「東京音頭」など、数多くの童謡、新民謡、歌謡曲を作曲しています。このレコードは、中野市の「中山晋平記念館」に遺族から寄贈され展示されています。
作詞・作曲の二人のほか、独唱が市丸、振り付けは藤間勘十郎など、それぞれ当時の一流の人々が担当。コロムビアレコードから発売されています。
このレコードの裏面には、同じく憲法普及会による「新憲法施行記念国民歌 われらの日本」も録音されています。
記念館に展示されたレコードにつけてある説明によれば、「歌いながら、踊りながら或いはそれを鑑賞しながら、新憲法の精神に国民大衆をふれさせようという狙い」で制作され、「『ぼん踊りは是非憲法音頭で!』という意気込みで全国的に…普及運動をくりひろげた」と、当時の取り組みの様子を伝えています。
馬島さんはこの歌への思いを話します。
「最初にこの歌詞を見たとき、今一つだなと思いました。しかし、憲法が改悪されようとしている今、あらためて読むと、戦時中は『壁に耳あり障子に目あり』と、本音で物が言えなかったのが、憲法ができて歌詞にあるように『誰にえんりょがいるものか』と、自由にしゃべれることの喜びが表現されていると思います」
中野市九条の会では、記念館に展示されている振り付けのイラストをもとにして、踊りを完成させて、発表し、大いに普及しようと話しあっています。