2005年3月27日(日)「しんぶん赤旗」
郵政民営化 政府・自民の調整
期限切る指示を首相は出したが
政府・自民党内で続いている郵政民営化法案の調整は、四月中の国会提出をめざす小泉純一郎首相が「来週中に党内の取りまとめをお願いしたい」(二十五日)と党執行部へ期限を切って指示したことで動きが加速しています。しかし、民営化に半数が「慎重判断」を求める世論調査(時事通信、二十一日)もあり、政府・自民党内の矛盾も大きくなっています。
執行部一任で
「無理を承知でやっている。まとまらないのをまとめるようにするのが仕事だ」。自民党内から来週中の政府・与党合意を困難とする見方が出ていることに小泉首相は二十五日、記者団にこう答えました。
民営化法案の早期提出をめざす政府はこの間、自民党郵政族議員が反発している政府の「郵政民営化の基本方針」(昨年九月閣議決定)との妥協点を党執行部側と検討してきました。
「基本方針」では、二〇〇七年四月の民営化開始時に日本郵政公社を(1)郵便事業会社(2)窓口ネットワーク会社(3)郵便貯金銀行(4)郵便保険会社――の四つに分け、この四社を傘下に置く純粋持ち株会社を設立。そこに、郵便局網の現行水準の維持を法律で義務づけることや、コンピューターシステムの開発が間に合わなければ完全民営化の開始時期(二〇一七年)を遅らせる規定などを党執行部に提示して調整を図ろうとしています。
この動きについて自民党議員の一人は「民営化という土俵は崩さず、政府、党執行部双方の言い分をいかによく見せようとしているかが見え見えだ」と冷ややか。小泉首相としては、調整を進めてきた党執行部に協議の一任を取り付けたい算段です。
陳情が山ほど
しかし、小泉首相が頼みの綱とする党執行部と郵政族議員らとの調整は難航。二十二日に開かれた自民党郵政改革関係合同部会では「全国から民営化反対とか慎重にとの陳情が山ほどきている。老人クラブの人たちからは年金の窓口がなくなるのかどうかとの陳情もある」「地元に帰ると『どうなるの』と聞かれることが多くなった。政府の話をすると不安がっていた」など、世論を意識した発言が相次ぎました。
出席した与謝野馨政調会長は「最近新聞で物事が決まったかのごとく報道されているが、そういうことは一切ない」と釈明に追われました。
関係合同部会は来週、二回の会合を持ち、政府・自民党執行部との調整案を検討する予定。小泉首相は党内調整の混乱を意識して「具体的な細かいことは言わない方がいい」(二十五日)としています。