2005年3月25日(金)「しんぶん赤旗」
改憲へ走る 「2大政党」
要綱案のまとめへ
来年度予算の成立を受けて、自民党と民主党の憲法改悪に向けた動きが本格化しています。月末には、自民党が新憲法起草委員会(委員長・森喜朗前首相)の小委員長会議を二十九日に予定。民主党は、三十一日に党憲法調査会の拡大役員会を開き、それぞれ小委員会や部会でまとめた要綱案の報告を受ける見通しです。
自民 4月、起草委試案
自民党新憲法起草委員会は、前文、安全保障、国民の権利・義務など、テーマごとに十の小委員会を設置、二月から討議を行ってきました。小委員長会議は十四日に続いて二度目。
十四日の小委員長会議の中間集約(論点整理)では、(1)前文に、「日本の歴史、伝統、文化」や目指すべき国家像を明記(2)安全保障では、九条二項(戦力不保持)を「改正」し自衛隊を「軍として明確に位置づける」ほか、海外での武力行使を可能にする集団的自衛権については安全保障基本法で具体的な要件をさだめる(3)「国防の責務」を明記するほか、表現の自由、結社の自由などを一部制限(4)国民投票を廃止するなど憲法改正手続きの要件を緩和――という方向が示されました。
その後の小委員会では、要綱案とりまとめをそれぞれの小委員長に一任することで合意。天皇にかんしては、「元首化」の明記について両論を併記、「国防の責務」を「義務」とすべきだとの意見が出たなどの特徴はあったものの、全体としては中間集約の域を出ていません。安全保障・非常事態小委員会では、「自衛のための軍隊を持つこと、国際協力のために日本の軍隊がきちんとやるということはほぼ満場一致」(舛添要一・事務局次長)したといいます。
小委員会の要綱案を受けて、森委員長は四月中の起草委員会試案に向けて条文化するか、論点整理の形にするかを含め検討を急ぐ見込みです。
民主 投票法案へ論議
一方、民主党は、十七日の党憲法調査会拡大役員会につづき、二十五日にも拡大役員会を開催。国民投票法案についての論点整理をすすめる見通しです。
「総論」部会では、「国民の憲法を創(つく)る」として改憲を明確にしたうえで、国民主権、共生、自立、歴史認識の四点を基本理念として掲げる「座長私案」が提示されました。しかし、九条を扱う「安保・国際」部会では十六日の会議で意見集約ができませんでした。
三十一日には、五つの部会から報告を受ける予定。同党の改憲草案の土台になる「憲法提言」を四月中にも発表しようとしています。