2005年3月22日(火)「しんぶん赤旗」
イラク・ファルージャは今
学校に米軍が駐留
現地の政党幹部語る
【カイロ=小泉大介】イラク戦争開戦から二年が経過したいまも、昨年四月、十一月と二度にわたる米軍の総攻撃で数千人の命が奪われた中部ファルージャの住民の生活は悲惨を極めています。現地のイラク・イスラム党幹部、カレド・ムハンマド氏(43)は十九日、本紙の電話取材に対し、ファルージャの最新の状況を語りました。
同氏によれば、米軍の攻撃により、民家、学校、モスク(礼拝所)を問わず、市内のほとんどの建物が破壊されました。このため、ファルージャの住民約三十万のうち、三分の一にあたる約十万人が、いまも自宅に戻れず、市周辺やバグダッドなどでの避難生活を強いられています。ファルージャに戻った住民たちの中にも、掘っ立て小屋やテントで生活している人が少なくありません。
「街は巨大な収容所となり、米軍の駐留の拠点となっています」。ムハンマド氏はこう語りながら、大規模な攻撃はなくなったものの、米軍は現在も乱暴な家宅捜索を続け、「不審人物」の拘束を行っていると指摘。住民はいまも恐怖のなかで生活していると強調しました。
少なくない小中学校が完全に破壊されました。全壊を免れた学校も米軍の駐屯地になっている例もあり、多数の子どもたちが市外の学校に通わざるを得ないといいます。
ほとんどの地区でいまだに電気や水の供給が復旧しておらず、援助団体の支援が決定的となっています。しかし、米軍の妨害により、赤新月社(赤十字に相当)による食料や水、医薬品の配給活動もままならない状況です。市内の唯一の総合病院にいくにも、そこにいたる道路を米軍が管理しているため、住民は自由に医者にかかることもできません。
ムハンマド氏は「(イラク戦争開戦日の)三月二十日はファルージャ住民とすべてのイラク人にとって暗黒の日となりました。この戦争がイラクにもたらした『自由』とは、米軍による暴力、民間人の殺人、家屋の破壊の自由だけでした。いまイラクの国民は、一刻も早く米軍が出て行くことを望んでいます」と訴えました。
今月四日には、バグダッドで人権団体やイスラム教スンニ派有力組織のイスラム聖職者協会、そしてファルージャ住民代表が参加して復興会議を開きました。発表された声明は、ファルージャでは少なくとも五千棟の民家が全壊、三万棟が深刻な破壊を被ったと指摘。「ファルージャは世界一無残な地となってしまった」と糾弾、米軍に賠償を厳しく要求していくことを確認しました。