2005年3月20日(日)「しんぶん赤旗」
主張
イラク戦争2年
無法を続けさせてはならない
米英軍によるイラク戦争開始から、二年になります。ブッシュ米大統領は開戦後四十日あまりで「大規模戦闘の終結」を宣言しましたが、いまも占領と戦争状態が続いています。
許されない焦土作戦
米英は、イラクのフセイン政権が大量破壊兵器をもっている、国際テロ組織アルカイダと結びついている、と偽り、イラク戦争を強行しました。二年間に、自国と国連の調査報告でもこのうそが明白になり、イラク戦争が先制攻撃の侵略戦争であることは隠しようもありません。
国連憲章と国際法を踏みにじる侵略戦争こそ「国際の平和と安全」を脅かすものです。世界的に批判が強まり、米英両国でも戦争批判が多数を占めるようになりました。二年前とくらべ、イラク戦争への賛否が逆転しています。
ホワイトハウスではこんなやりとりがありました(十五日)。
記者「米大統領はどう記念するのか」報道官「イラク解放が始まる日程を決めるまでにはもうちょっと時間がいる」記者「イラク侵略じゃないか」報道官「イラク人は連合軍の犠牲に感謝している」記者「米軍は居残り、まだ戦闘を続けている」
米国でも、占領軍の「犠牲」と撤退時期、いわゆる「出口」が問題にならざるをえない現実があります。
二年間に死亡した米兵は千五百十三人、負傷米兵は一万一千三百四十四人にのぼります(十八日の米国防総省発表)。最多時の派遣米兵約十五万人というなか一万三千人近くの死傷者は、米軍が激しい敵意と抵抗にあっていることを示しています。
恐怖にとりつかれた米兵がむやみに発砲し、イラク人や外国からきた民間人を殺傷する例があとを絶ちません。人質状態から解放されたイタリア人女性ジャーナリストを米兵が銃撃した事件も起きています。
イラク人の死者は、十万人以上ともみられています。不法な侵略と軍事占領はイラク人の生命と人権を奪い、治安を極度に悪化させる根本原因になっています。
昨年秋、米軍はファルージャを総攻撃し、全壊40%、大破20%、重大な損壊40%と、家屋を破壊し尽くしました。断じて許されない“焦土作戦”です。生きのびた約三十万市民もほとんどが避難を強制されました(国連難民高等弁務官事務所)。
ファルージャなどでスンニ派住民の多くが投票できないなか、一月末の暫定議会選挙では有権者の六割程度が投票しました。代表的な演劇人、ハイダル・メナサル氏は「イラク人は自らの力で国づくりができることを証明しようとした」と本紙に語っています。過半数の議席を獲得した「統一イラク同盟」のハキム師は十六日の初議会で、米軍と「多国籍軍」を撤退させる意向を語りました。
占領軍、自衛隊を引け
イラクから占領軍を撤退させイラクの人々の主権を回復する見通しを明確にすることが、ますます重要になっています。イラクで米軍の無法を終わらせるため、中東と世界の平和のために、不可欠です。
イタリアの首相が九月からの自国軍撤退を表明したのに続き、ブルガリアの国防相が六月に撤退開始と表明しました。三十七カ国だったイラクへの派兵国は半減します。自衛隊は、「多国籍軍」で米軍の無法に加担する立場に組みこまれています。いますぐ撤兵させるべきです。
イラクに平和と正義を、占領軍と自衛隊は撤退せよ、の世論と運動を大きく広げていきましょう。