2005年3月19日(土)「しんぶん赤旗」
ブルガリアも撤兵へ
派兵国 半数崩れる
【ベルリン=片岡正明】米英両国による対イラク戦争開始二周年の二十日を前に、ブルガリアのスビナロフ国防相は十七日、イラク駐留のブルガリア部隊四百六十二人中百人を六月に削減すると発表し、今年末までの全面撤退を議会に提案すると表明しました。有力野党の社会党はすでに撤兵を主張。撤退方針が議会で採択されるのは確実です。
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これはイタリアの撤兵表明に続くもの。これでイラクに派兵した三十七カ国中、撤退したか撤退を開始した国は十三カ国、撤退を予定または検討している国は六カ国となりました。
ブルガリアの左翼系日刊紙サガは「(イラク派兵諸国の)有志連合は死んだ」と論評しました。
今回の決定は、六月の国政選挙を前に、米軍の銃撃を受けブルガリア兵士が死亡した事件での世論の反発が強いことを考慮したもの。三月の世論調査では、事件を受け、ブルガリア部隊のイラク撤退を求める声が72%と、一月に比べ10ポイントも増加。米国が打診している「ブルガリア国内での外国軍駐留」にも64%が反対しています。
北大西洋条約機構(NATO)に昨年加盟し、米国に全面協力してきたブルガリア政府も、撤退表明せざるを得なくなりました。これまでで八人のブルガリア兵がイラクで犠牲になっています。
イラクに派兵した「有志連合」国の状況 |
撤退または撤退を開始 13カ国 |
ニカラグア、ドミニカ共和国、スペイン、ホンジュラス、ノルウェー、フィリピン、ニュージーランド、タイ、ハンガリー、ポルトガル、モルドバ、オランダ(2月撤退開始)、ウクライナ(3月撤退開始) |
撤退を予定・計画 6カ国 |
ポーランド、エルサルバドル、シンガポール、チェコ、イタリア、ブルガリア |
派兵継続 18カ国 |
アメリカ、イギリス、ルーマニア、デンマーク、アゼルバイジャン、スロバキア、ラトビア、リトアニア、アルバニア、グルジア、エストニア、マケドニア、カザフスタン、韓国、日本、オーストラリア、モンゴル、トンガ |