2005年3月18日(金)「しんぶん赤旗」

“米国の利益第一に”

世界から批判の声相次ぐ


 ブッシュ米大統領がウルフォウィッツ国防副長官を次期世界銀行総裁に推薦する意向を表明したことに、世界から批判が相次いでいます。

 とりわけ、貧困や開発問題にかかわる非政府組織(NGO)や専門家が猛反発。世界開発運動(WDM)は、「本当に恐ろしい人選」と懸念(英BBC電子版)。グリーンピースの報道担当者は、「持続的開発をもたらすための世銀を米国と石油産業の利益を第一とする人物の手にまかせることは悲劇だ」と強調しました(ロイター通信)。

 二〇〇一年のノーベル経済学賞の受賞者で世銀のチーフエコノミストを務めたジョセフ・スティグリッツ氏は「貧困とのたたかいでは正しい司令官を選ぶことが必ずしも勝利を保証するものではないが、間違った司令官の選出は明らかに敗北の機会を増大させる」と警告しました(英BBC電子版)。

 また国際援助団体オックスファムは、米国が世銀の総裁を選び、欧州が国際通貨基金(IMF)の専務理事を選ぶこれまでの慣習を変える必要があると述べ、非民主的な選出過程そのものを批判しました。

 アフリカや中東からも、「人々の怒りを呼ぶことになるだろう」(南アフリカ・ビトバーテルスラント大学のジョン・ストレムロー教授)、「貧困者への適切な配慮をしないむき出しの市場経済を押しつける超右派的考え方(をもたらす)」(エジプトのアルアハラム政治戦略研究所のムハマド・アルサイド・サイド氏)など、懸念が噴出しています(ロイター通信)。

 ウルフォウィッツ氏が推進したイラク戦争に反対し米政権から「古い欧州」と批判されたヨーロッパでは、ドイツのウィチョレクツォイル経済協力開発相が「古い欧州は圧倒的熱狂をもってうけとめてはいない」と冷ややかに反応。フランスのバルニエ外相も「人物の特性や他の候補者も考慮しつつ検討する」と述べました。

 米国内でも、コロンビア大学のジェフリー・サックス教授が、「貧困から人々を救い出す専門的な経験をもつ人物が必要だが、ウルフォウィッツはそのような経験をもたない」と述べ、他の候補者の選出を求めました(ロイター通信)。ワシントン・ポスト紙十七日付(電子版)は、「米国のイラク侵略に批判的な国との間に新たな亀裂が生じる恐れがある」と報じています。 (岡崎衆史)


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