2005年3月18日(金)「しんぶん赤旗」
米大統領前報道官 イラク戦争開き直る
“フセイン倒し大戦回避”
【ワシントン=山崎伸治】サダム・フセインを打倒することで、ブッシュ大統領は第三次世界大戦を回避したのかもしれない―第一期ブッシュ政権成立から二〇〇三年七月までホワイトハウスの報道官を務めたアリ・フライシャー氏がこのほど回想録を出版、イラク戦争についてこんな開き直りをしています。
フライシャー氏は、ホワイトハウスでの記者会見でイラクの大量破壊兵器保有を断言していたことについて、「ボスであるブッシュ大統領がそう言ったからだ」と記述。「フランスは一九九〇年代にイラクが大量破壊兵器を保有していると結論付けていたし、ドイツもそうだった」と戦争に反対した両国の名前まであげて強弁。
イラクで大量破壊兵器が見つからなくても、フセイン大統領には大量破壊兵器を開発する「意図」があったと強調。「もしこの戦争(イラク戦争)が二〇〇三年にたたかわれなかったとしても、たたかわれねばならなくなるのは時間の問題であり、その場合の敵は、おそらく大量破壊兵器を保有しており、それをわれわれの兵力に対して使っていたかもしれない」と述べました。結局、やられる前にやってしまえという「先制攻撃戦略」にもとづく戦争だったことを裏書きしています。
そしてチェコのハベル大統領らがブッシュ大統領に、「もし一九三八年ないし三九年に(ナチスに対し)手を打っていさえすれば、第二次世界大戦は避けられたかもしれない」と話したことを紹介。ナチスとフセイン政権を重ねあわせ、「ブッシュ大統領が…大量破壊兵器を保有し、使用する前にサダムを打倒することで三度目の世界戦争を避けたのか」と提示、「われわれにはわからない」と言いながら、将来そのように評価されるに違いないとの思いをにじませています。