2005年3月18日(金)「しんぶん赤旗」
「思いやり予算」削減へ 韓国
政府「大きな進展」
平和団体「在韓米軍支援は違法」
韓国国防省が主管する日刊紙・国防日報16日付などによると、韓国政府が在韓米軍のために負担する防衛費分担、いわゆる「思いやり予算」が今年から削減されることになりました。米韓両国の外交当局高官が15日、ソウルで協議し合意しました。両国は今月末にも正式協定を締結する予定で、削減幅は前年比で約10%になる見通しです。
韓国は昨年、防衛費分担金を七千四百六十九億ウォン(約七百四十億円)支出しました。一九九一年に始まった防衛費分担の内訳は、韓国人基地労働者の人件費、軍事施設建設費、軍需物資支援費など。年々増加し、二〇〇二年からは毎年、8・8%の引き上げに物価上昇率を加えた分を支出してきました。
基地の縮小
韓国側は今回、在韓米軍の削減と米軍基地の統合・縮小が決まったことから約10%の削減を主張。一方、米国側は防衛能力維持を理由に8%の増額を求めたといいます。また、米国側は協定の有効期間を五年間、最低でもこれまで通り三年間とするよう求めました。
しかし韓国側は、米韓同盟のあり方を検討する「米韓安保政策協議(SPI)」が始まり今後の防衛費分担の予測が困難だとの理由で、一年間の短期協定を主張。結局、二年間とすることで合意しました。
結果を評価
こうした結果について、韓国政府は「韓国側の主張がほぼ通ったもので、大きな進展」だと評価しています。
一方、「平和と統一を開く人々」などの平和団体は十五日、共同声明を発表し「そもそも在韓米軍の費用は、米国側が負担するというのが米軍地位協定の規定だ」とし、防衛費分担は「違法な米軍支援の出費だ」と批判しました。
廃止求める
声明は「韓国が負担する米軍支援費は、国内総生産(GDP)比で0・17%だ。日本の0・11%、ドイツの0・05%に比べて大きな負担になっている」と指摘。当面は出費の大幅削減、長期的には全面廃止を求めています。 (面川誠)