2005年3月16日(水)「しんぶん赤旗」
国民投票法案の撤回求める
日本ペンクラブが声明
与党が今国会に提出しようとしている憲法改定に向けた「日本国憲法改正国民投票法案」について十五日、日本ペンクラブ(井上ひさし会長)は東京都中央区で記者会見し、「与党が同法案を即時白紙撤回することを求める」とする声明を発表しました。
会見に出席したのは吉岡忍、高橋千劔破、米原万里、猪瀬直樹、井上ひさし、山田健太、阿刀田高の各氏。
吉岡氏は声明発表の趣旨を「今、私たちの社会では精神の自由を押さえつける動きが強まっている。表現の自由と平和を大切に考えている『物書き』として、この強い危機感を皆さんに訴えたい」と説明しました。
井上氏は法案について「国民は考えず黙って投票すればいい、というごう慢な姿勢を感じる」と批判。「危機感は強いが、日本国憲法の下で六十年間生きてきた日本人の底力を、信じたいと思っています」と語りました。
声明は法案が憲法改定手続きについて▽新聞・雑誌・テレビなどの虚偽・わい曲報道の禁止▽予測投票の公表禁止▽新聞・雑誌の不法利用の制限などを盛り込んでいることを指摘。報道機関による独自の見解の発表や、世論調査・予測報道、意見広告などに対して「過度に広範な規制が及ぶ危険性」があるとしています。
その上で、国のもっとも基本的な姿勢を定める憲法を議論するには、最大限、表現の自由を保障すべきだと強調。「表現規制によって非民主的かつ理不尽な憲法改正作業を進めようとの意図を読み取らざるを得ない」と批判しています。