2005年3月15日(火)「しんぶん赤旗」
児童買春防止で合意
旅行業界などが行動規範
子ども買春をなくそうと、約千二百社からなる日本旅行業協会、日本ユニセフ協会、ECPAT(ストップ子ども買春の会)などは十四日、東京都内で「子ども買春防止のための旅行・観光業界倫理行動規範」に調印しました。
日本ユニセフ協会大使のアグネス・チャンさんは、タイやフィリピン、モルドバなどを訪問し、子ども買春の実態を見てきたことにふれ「小さな子どもが客といっしょにホテルに入ってくるのを見て、泣き出してしまった。買春は子どもの一生をだいなしにしてしまう。観光業界とパートナーになれてうれしい」とあいさつしました。
参加企業には、百三十余の関連企業をもつジェイティービー、日本旅行や近畿日本ツーリストなど六十社が名を連ねました。
これらの企業には、「子どもの商業的性的搾取に反対する企業倫理規定・方針の確立」「出発地、目的地両国の従業員に対し必要な教育・訓練」「目的地業者との契約に子どもの性的搾取を拒否する条項を入れる」など六項目が求められます。
旅行業界に「行動規範」を迫るプロジェクトは、国連児童基金(ユニセフ)、世界観光機関、国際NGOのECPATなどが推進してきました。すでに世界十七カ国、五十八の旅行・観光業者・業界団体が参加しています。
日本は一九九六年ストックホルムの「第一回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」で「加害国」として批判され、九九年「児童買春・児童ポルノ防止法」が成立しました。しかし、日本人による海外での子ども買春はあとをたちません。
プロジェクト運営委員会事務局のカメリア・テペルスさんは「世界で大きな地位を占める日本の旅行業界が児童買春ノーのメッセージを示すことで、現地の市場に与える影響は大きい」と。
日本旅行業協会の新町光示会長は「日本には多くの海外旅行者がいる。こういうこと(買春)を絶対しないという規範を世界に示していくことが大事だ。観光産業は、平和産業であり、人と人のつながりを通じて、人々に平和をもたらすものだ」と話しました。