2005年3月15日(火)「しんぶん赤旗」

主 張

国民投票法案

憲法改悪の手段でしかない


 自民党の中山太郎衆院憲法調査会長の呼びかけで、自民・公明・民主三党の憲法問題担当者が、国民投票法案をテーマにした三党の政党間協議の機関を設けることについて話し合っています(十一日)。各党に持ち帰ったうえで最終結論を出すとしていますが、民主党も「協議できるのが望ましい」(枝野憲法調査会長)という態度です。

 自公民三党が、憲法改悪の手段でしかない国民投票法案の制定で足並みをそろえようとしていることは、見過ごしにできません。

国民が抑えてきた悪巧み

 自民党と公明党の与党協議会は、昨年十二月、「日本国憲法改正国民投票法案」の骨子を了承し、成立に向けた手順で合意しています。国会法を「改正」して、衆参両院の憲法調査会に法案審査権を付与し、そこで国民投票法案を審査し「成立を図る」という内容です。自民党は、通常国会での国民投票法案成立に執念を燃やし、公明党も「異論はない」(神崎代表)と同調しています。

 改憲勢力は、国民投票法制定の緊急性を、次のように強調します。

 “憲法第九六条の「改正」手続きとして「国民投票」が規定されているのに、国会が、国民投票を実施する法律を制定しないのは怠慢だ”

 自民党憲法調査会長の保岡衆院議員は「国民への冒涜(ぼうとく)」だとまで言っています。

 日ごろ、憲法に悪口を言い、背を向けている改憲勢力が、「国民投票」だけは憲法の規定を急いで具体化せよというのは、ご都合主義です。

 国民投票法が必要になるのは、改憲のときだけ。憲法を守り、憲法にもとづいた政治を行うなら、国民投票法はいりません。だから、以前は、公明党でも「現憲法は十分に国民に定着しており、すぐに改正の手続法を作らなければならない必然性はない」といっていたほどです。

 現在も、憲法改定についての国民の合意はなく、国民投票法制定の必然性はまったくありません。

 むしろ、国民が自民党などの憲法改悪のたくらみを抑えてきたからこそ、国民投票法が制定されていないという事実に注目すべきです。

 自民党などの最大の狙いは憲法九条の改悪です。「戦力不保持」規定を取り払って軍隊を持ち、アメリカとともに海外でたたかえるようにする。そのため、国民に「国防の責務」を課し、国民の権利や自由に制限を加える―。改憲して再び危険な道に踏み出そうとすることに、多くの国民が反対するのは当然です。

 平和を望む国民の良識の力が、改憲のための国民投票法制定を許しませんでした。これは、「国会の怠慢」ではなく、貴重な国民的成果です。保岡氏の言葉は、国民への「逆恨み」でしかありません。

国民を冒とくしているのは

 国民の意思に反して国民投票法案を一方的に強行しようとする態度こそ、「国民への冒涜」です。

 国民投票法案の「骨子」は、投票の成立要件は定めずに「有効投票の過半数」で改憲できるようにすることや、改憲の是非を問う運動や報道を厳しく規制する内容を盛り込んでいます。「主権者」としてもっとも重要な、憲法を決める国民の権利・権限を切り縮める内容です。憲法の規定を具体化するかのように装ってはいても、実際は、平和原則をこわす九条改憲と、国民主権原理のじゅうりんにつながっています。

 国会の憲法調査会の変質と国民投票法案提出を許さないため、批判の声を大きくしていきましょう。


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