2005年3月15日(火)「しんぶん赤旗」
自民党憲法起草委
自衛隊「軍と明記」
表現・結社の自由制限も
自民党新憲法起草委員会(委員長・森喜朗前首相)は十四日、前文や九条など十分野で構成される小委員長会議を開き、改憲試案(森試案)に向けて「論点整理」をまとめました。青少年への悪影響を理由に「表現の自由」に制限を加えるほか、「結社の自由」にも制約を加え、国や社会秩序を著しく害する団体の制限などを盛り込みました。
会議では、前文を全面改定し、「自主憲法」であることや、日本の「歴史、伝統、文化」を盛り込むなど保守回帰の国家像を描く内容となっています。
焦点の九条に関しては、一項は維持するものの、二項を改定して自衛隊を「軍」と位置付け、新たに海外派兵を意味する「国際協力」の規定も加えます。海外での武力行使を可能とする集団的自衛権の行使については、「自衛権を明確化すべきだ」との意見が大勢をしめ、容認する方針。ただし、条文には明記せず、具体的な要件は「安全保障基本法」で規定するとしています。
海外での武力行使の「歯止め」となってきた九条二項を取り払うことで、集団的自衛権の行使を可能とする意図が明確です。アメリカの戦争に参戦する仕組みです。
一方、現憲法にはない「国民の責務」を設け、「国防」「家庭保護」「社会保障制度維持のための費用負担」などを新たに規定するとしています。
起草委は四月下旬までに試案をまとめるとしていますが、党内には異論もあり、五月にずれこむ可能性もあります。