2005年3月9日(水)「しんぶん赤旗」
在韓被爆者に葬祭料認める
長崎地裁 遺族が勝訴
被爆者が死亡した際に支給される被爆者援護法に基づく葬祭料の申請を死亡時に日本に居住していないことを理由に却下したのは違法として、在韓被爆者の故崔季Kさんの妻、白楽任さん(76)=韓国釜山市在住=が、伊藤一長長崎市長を相手取り却下処分の取り消しを求めた訴訟の判決が八日、長崎地裁でありました。田川直之裁判長は「在外被爆者も法の定める総合的な援護対策の対象に当然含まれる」と述べ、市の却下処分を「違法」として取り消しました。
在外被爆者が死亡した際に葬祭料の支払いを認める司法判断は初めて。同種訴訟は広島地裁や大阪地裁でも係争中です。
田川裁判長は、在外被爆者について「一般的に法の定める援護を受けることができない事態を招くことは、法の趣旨に反する」と指摘。「審査の困難性が在外被爆者による申請を一律に否定する理由にはなり得ない」としました。
その上で、在外被爆者の申請を認めないことを定めた法施行令一九条と施行規則七一条について、判決は「法の委任の範囲を超えており、無効」と判断しました。