2005年3月8日(火)「しんぶん赤旗」
解説
東富士演習場の日米密約
米海兵隊移転の口実に
基地の共同使用拡大に道
日本共産党の紙智子参院議員が七日の参院予算委員会で明らかにした、東富士演習場の米軍優先使用に関する日米密約は、在日米軍再編で沖縄駐留の米海兵隊部隊の移転の口実になりかねないものです。
事実上制限なし
在日米軍の再編で日米両政府は、米軍と自衛隊による基地の共同使用、共同運用の拡大を大きな狙いにしています。大野功統防衛庁長官も、紙議員に対し「時代の要請は(米軍と自衛隊との)統合・共同だ」と認めました。
しかし、在日米軍の再編で基地の共同使用を目指すとしても、米軍使用に制限が加えられていては、その狙いは果たせません。
紙議員が明らかにしたように、東富士演習場は地位協定二条四項bで米軍使用が認められているものの、年の半分を超えての使用はできないというのが、政府のこれまでの見解です。
しかし、同演習場で一年間に二百七十日もの米軍優先使用を認める密約があれば、事実上、米軍使用に制限はありません。
地元は強く反対
東富士演習場ではすでに、米海兵隊部隊の移転、日米共同使用の拡大を念頭に置いたとみられる動きも始まっています。
東富士演習場の地権者団体である東富士演習場地域農民再建連盟や、御殿場市など地元自治体はこれまで一貫して、米軍と自衛隊による日米共同演習の恒常化に反対してきました。防衛施設庁もこれに同意してきました。ところが、今年になって防衛施設庁は、東富士演習場での日米共同演習について「自衛隊に与えられた任務を行う上で、日米共同訓練を通じて戦術面などの相互理解と意思疎通を深め、共通性を持つことが更に重要となった」とし、「今後、国、地元双方で協議したい」と見直しを求めています。
地権者や地元自治体は、在日米軍の再編による米海兵隊部隊の移転について「到底受け入れ難い」と反対を表明しています。
(田中一郎)