2005年3月8日(火)「しんぶん赤旗」
海老名香葉子さん「枯れることのない涙です」
60周年 東京大空襲を伝える
「(東京大空襲から)六十年たっても枯れることのない涙でございます。伝えていかないといけない三月十日でございます」。七日、東京・千代田区の日比谷公会堂で開かれた「東京大空襲六十周年メモリアル 十万人の青空」(主催海老名香葉子・ねぎし事務所)で、涙を浮かべた海老名香葉子さんがあいさつしました。
あの日から六十年がたち、海老名さんが求めつづけてきた「慰霊碑」や母子像が建立されることになり、報告をかねて行われたイベントのあいさつです。
海老名さん原作で「うしろの正面だあれ」の続編になるアニメ映画「あした元気にな〜れ! 〜半分のさつまいも〜」(中田新一総監督)の完成記念特別披露試写会と舞台あいさつも上戸彩さんらを迎えて行われました。同映画は、主人公かよ子が東京大空襲で兄と二人だけになり、それでも生きていく姿を描き出します。
「十万人の青空」では、戦争中、口演を禁じられた落語が春風亭小朝さん、海老名さんの長男林家こぶ平さん、二男林家いっ平さんによって演じられました。こぶ平さんは「噺(はなし)家で亡くなられた方もたくさんいらっしゃいます。つくづく戦争はいけないと思います」と話しました。
映画主題歌の「蓮花(れんか)」の作詞・作曲を手がけた谷村新司さんと笑福亭鶴瓶さんによるトークショーも行われ、曲が披露されました。
主題歌を歌う十五歳の林明日香さんは「主題歌を歌わせてもらうために、自分のおばあちゃんに戦争の話を聞かせてもらいました。戦争は一生起きてほしくない」といいます。中田総監督は「海老名さんが語り部として伝えたいことを、なんとか伝えたかった」と話しました。