2005年3月7日(月)「しんぶん赤旗」

主張

基地の共同使用

実戦にのりだすための一体化


 日米両政府は、日米安保協議委員会の共同発表にもとづいて、自衛隊と米軍がそれぞれ管理する基地を共同して使えるようにするための協議を加速させています。数カ月で原案をつくり関係自治体との協議に入る計画です。共同使用によって自衛隊と米軍の関係は、「当然一体化は強まる」(大野防衛庁長官 二月十九日)ことになります。自衛隊が、世界の戦場で米軍とともにたたかう道に踏み込むことを認めるわけにはいきません。

米側のねらいは明確

 新たな共同使用は、現在の共同使用を拡大し、米軍と自衛隊の一体化を一段とつよめるものです。

 現在は、米軍の三沢や岩国などの基地を自衛隊も利用、自衛隊の矢臼別や日出生台などの演習場を米軍も使用しています。米軍は、九〇年代に入って使用面積を増やし、専用面積の二倍以上(約六万九千九百ヘクタール)にもなっています。安保条約が全土基地方式であるといっても、現状以上の新基地建設は国民の抵抗から困難です。「節約」ということもあって、自衛隊基地の共同使用を拡大してきました。

 ブッシュ政権が求める基地の共同使用は、米軍と自衛隊の連携と共同作戦能力をつよめるための新しい政策です。ブッシュ政権は、アフガニスタンやイラクのように先制攻撃戦争をおこなう場合は、同盟諸国を動員してたたかうことを基本方針にしています。

 ハギー米海兵隊総司令官は、「われわれが戦闘するとき、それは決してアメリカだけでおこなうわけではない。実際、通常は常に有志連合(多国籍軍)になる」(二〇〇四年八月二十三日)とのべました。ファイス米国防次官も、「われわれは、戦闘から平時までのあらゆる作戦任務で、同盟国とともに行動できる能力を強化するようとりくんでいる」(同年十一月十五日)とのべています。米軍との共同作戦とそのための能力向上を求めています。基地の共同使用はこのためにもちだされたのです。

 共同使用によって、自衛隊は、戦争慣れした米軍と寝起きをともにし、日常化する共同訓練を通して、戦場下での部隊行動を学び、実戦部隊になることをめざしています。日米の「役割分担」として、自衛隊が米軍基地の警護や管理に責任を持ち、米軍の「節約」(ブッシュ大統領)に貢献することにもなるでしょう。

 共同使用による被害も深刻化します。横田基地であれ嘉手納基地であれ、航空機を伴う共同使用であれば、どこでも使用航空機が増え、基地周辺の航空機騒音がさらに激しくなります。在沖海兵隊砲兵部隊が共同使用すれば、その自衛隊基地周辺の砲撃音が激増することもあきらかです。米軍常駐化で米軍犯罪も心配しなくてはなりません。

関係自治体は反対

 政府は数カ月で米軍再編案をまとめ、「自治体との話し合いを進める」(町村外相)といいます。

 しかし、昨年来、自衛隊矢臼別演習場や東富士演習場など具体的な名前があがるたびに関係自治体は受け入れ反対を表明してきました。これ以上軍事基地による苦しみを増やしてはならないという切実な思いの表明です。

 政府は、受け入れを強制してはなりません。沖縄の「基地の痛み」を軽減させるどころか、自治体と住民に新たな苦痛をもたらします。

 アメリカいいなりをやめ、共同使用の具体化作業を中止すべきです。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp