2005年3月6日(日)「しんぶん赤旗」
バグダッド
米軍 解放の伊記者銃撃
負傷し帰国 同行者死亡
【ベネチア=浅田信幸】イラクで武装勢力に拉致され、一カ月ぶりに解放された後、駐留米軍の銃撃を受け、負傷したイタリアの左派系紙マニフェストの女性記者ジュリアナ・ズグレナさん(57)が解放から一夜明けた五日、ローマ空港に到着しました。
同記者は四日、武装勢力との交渉にあたった伊情報機関員三人とともに車でバグダッド空港に向かう途中、米軍の銃撃を受け、同記者が肩に負傷。情報機関員一人が死亡し、二人が負傷しました。
ズグレナ記者は二発の銃弾を受け、一発は肺の近くに達したとの情報もありますが、バグダッドの米軍病院で緊急手術を受け、生命に危険はないようです。死亡した情報機関員カリパリ氏はズグレナ記者をかばって銃弾を浴びたといいます。米軍の説明によると、空港に向かう道路の検問所はたびたび武装勢力の標的となっているため、高速で接近する車を自爆テロと間違って発砲したといいます。
五日付マニフェスト紙は死亡した情報機関員とズグレナ記者の写真を一面に大きく掲載。「ズグレナ解放、米軍発砲、解放者を殺害」の見出しをたて、社説では「われわれ全員が命を落とす恐れのある戦争のばかばかしさ」と告発しました。
イタリア政府はイラク戦争、占領に反対する強い世論に逆らって米国、英国、韓国に次ぐ四番目の規模の三千人の部隊をイラクに派遣していますが、二月十九日のズグレナ記者解放を求めるローマの集会には五十万人が参加しました。今回の事件で改めてイラク撤退の声が高まることは必至。米国一辺倒の外交姿勢をとっているベルルスコーニ首相は四日、駐イタリア米大使に対し徹底した調査を要求。「何が起き、誰に責任があるのか、米政府は明白にすべきだ」とする声明を発表しました。