2005年3月5日(土)「しんぶん赤旗」

大日岳遭難事故から5年目

提出署名15万人分に

遺族が国に謝罪求める


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大日岳遭難事故で国の謝罪を求める署名を文部科学省に提出する遺族ら=4日

 北アルプス・大日岳で文部省(当時)が行った冬山研修中に二人の学生が死亡した事故から五年目にあたる三月五日を前に四日、遺族は国に事故の責任を認め、謝罪を求める署名を文部科学省に提出しました。署名は昨年提出した約十万四千人と合わせて約十五万人になりました。

 積み上げた署名を前にして、亡くなった内藤三恭司(さくじ)さんの父・悟さんは「息子は講師の指示に従って危険な場所で休憩し、落ちてしまった。それなのに国は不可抗力という。事故調査報告書を作り替え、主催者責任をとってもらいたい」と訴えました。溝上国秀さんの母・洋子さんは「自慢の息子を思いつづける五年間だったはずなのに、国という組織とたたかう原告となってしまった。せめて事故原因を明らかにし、冬山登山に生かせるようにしてほしい」と遺族の思いを語りました。

 支援者からは「事故の科学的で客観的な解明が登山界にとっても必要」(日本勤労者山岳連盟の斎藤義孝理事長)「学校災害で毎年七十―百件死亡事故が起きている。責任を認めることが命を大切にすることだ」(学校災害から子どもを守る全国連絡会の鈴木加津美事務局長)との意見も出されました。

 これに先立ち遺族と支援の人たち約二十人は、文科省前で事故の真相を究明し、裁判への支援を訴える宣伝を行いました。

 大日岳遭難事故 二〇〇〇年三月、文部省(当時)登山研修所主催の学生冬山リーダー研修中、休憩してた雪庇(せっぴ)が崩落し、流された学生二人が亡くなった事故。文部科学省は翌年、雪庇の崩落は予見不可能で事故は不可抗力とする「事故調査報告書」をまとめ、国に責任なしとしました。遺族は事故原因の究明が不十分で納得できないと提訴しました。



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