2005年3月5日(土)「しんぶん赤旗」

主張

BSE対策

世界の非常識はどっちなの


 「全頭検査は世界の常識ではなく、非常識の部類ですから、いつまでも、こういう姿勢に閉じこもっていることが妥当だとは考えていません」。BSE(牛海綿状脳症)対策にからむ、衆院予算委員会(二月二十五日)第六分科会での島村農水相の答弁です。

 この答弁を引き出した公明党の赤羽一嘉議員は「大変勇気ある、率直な御答弁を本当にありがとうございます」と持ち上げています。

全頭検査で消費が回復

 全頭検査は、日本の牛肉にたいする国民の信頼を支える柱です。前農水相の亀井善之氏は、「米国は全頭検査を非科学的と言い続けたが、日本で牛肉の消費が回復したのは、全頭検査のおかげだからね」「日本の消費者の意識からすると、全頭検査が決定的な安心感を与えていると思います」(日本農業新聞一月二十五日付)とのべています。

 消費者が安心して食べることが、生産の安定の確保につながります。全頭検査を否定する発言は、農水相として重大な責任が問われます。

 島村農水相は、昨年十二月に米国のベーカー駐日大使の訪問を受け、米国産牛肉の早期輸入再開を要求されました。国会答弁のなかで「彼の気持ちにもこたえなければいけない」と思ったとものべています。

 農水相は、消費者団体から発言の撤回を求められたあとも、全頭検査の継続を「常識とは思えない」と発言。民主党議員の質問に「適切でないなら言葉にこだわらない」とこたえていますが、米政府の「訴え」を優先して、牛肉にたいする安全・安心を投げ捨てる態度は、絶対に許されません。

 米政府は、輸入再開のため「あらゆる必要な措置をとる」と、日本政府への圧力を強めています。しかし、米国産牛肉の輸入が再開されないのは、日本のBSE対策に原因があるのではなく、米政府のBSE対策が不十分だからです。

 BSE検査をとってみても、検査率は1%未満で、ほぼすべての牛が無検査のまま、と畜されています。

 米政府は、全頭検査の廃止の理由として、“安全性の担保は異常プリオンが蓄積する危険部位の除去だ”といいます。しかし、その危険部位の除去も、日本のようにすべての牛を対象にするのではなく、米国では三十カ月齢以上とされています。しかも米国には日本のような月齢を正確に判別できる生産履歴システムがありません。

 小泉首相は、輸入再開には「日本と同等の措置を米国に求めることを基本に協議」(今国会での施政方針演説)するとのべています。改めなければならないのは米政府のBSE対策です。

 米政府は、輸入再開を急ぐために、牛の「肉質」などで評価する牛肉の格付けで月齢を判断するという方法を編み出し、日本政府もこれをのもうとしています。

 しかし、肉の値段をつけるための格付けと月齢をリンクさせるやり方は、世界に通用するものではありません。衆院予算委員会で、日本共産党議員の質問にたいし、農水省も、米国の方式であり「世界のどの国でも使われているものではない」と認めています。

科学的根拠がない

 非常識は、世界でも科学的根拠が明らかになっていない、米政府のBSE対策です。

 外食産業のなかからも「米産牛も全頭検査をすべきだ」という声があがっています。そうすれば、消費者の安心は高まります。


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