2005年3月4日(金)「しんぶん赤旗」

堤コクド前会長逮捕

証取法違反容疑

政治家との関係は?

「西武王国」直撃


 総資産一兆八千億円、傘下企業百三十五社などを抱え、百六十カ所以上のホテル、ゴルフ場などを持つ「西武王国」についに捜査のメス――。東京地検特捜部は三日、西武鉄道の有価証券報告書に虚偽を記載して提出したうえ、インサイダー取引をした証券取引法違反容疑で、グループ中核企業コクドの前会長堤義明容疑者(70)を逮捕、同鉄道やコクドなどグループ企業を家宅捜索しました。


 堤容疑者は、父親の康次郎元衆院議長(故人)から引き継いだ株偽装などの手法や政界人脈をもとにグループ全体を支配してきました。今回の逮捕は「西武王国」そのものを直撃するもので、今後、組織的不正の解明や政界との関係などが問題になってきます。

 堤容疑者は大筋で容疑を認めたとみられます。

 調べによると、堤容疑者は前西武鉄道社長(自殺)らと共謀。昨年六月二十九日、同年三月期の同報告書に、実際には64.83%だったコクドの株保有比率を43.16%と偽って記載し、関東財務局に提出しました。

 さらに、同五月二十五日ごろ、前コクド専務(67)から虚偽記載を続けてきたとの「重要事実」の報告を受け、コクドの保有株数を減らすため、公表前の同九月九日から二十八日の間、同鉄道の約千八百万株を九社に約二百十六億円で売却しました。

 コクドは遅くとも一九五七年以降、個人名義に偽装して、西武鉄道株を保有。大株主の保有割合が上場廃止基準に抵触する実態を隠していました。

 堤容疑者は昨年五月、前専務からコクド保有株の売却を相談されたさい、「まだ売らなくていい」と指示。その後、グループ幹部らに売却を指示し、自らも取引先に購入を持ち掛けていました。


 インサイダー(内部者)取引 上場廃止の原因となる事実など上場企業に関する「重要事実」を知った会社関係者などが、その事実の公表前に当該企業の株を取引する行為。利益の有無にかかわらず、証券取引法で禁止されており、違反した場合は三年以下の懲役または三百万円以下の罰金。証券取引所を通さない相対取引の場合でも、一方が知らない場合は該当します。

 有価証券報告書の虚偽記載 上場企業などは事業年度ごとに、経理状況などの重要事項を記載した有価証券報告書を国に提出する必要があります。財務諸表は公認会計士による監査証明を受けなければならず、虚偽記載のある報告書を提出した場合、個人は五年以下の懲役または五百万円以下の罰金。法人に対する両罰規定もあり、五億円以下の罰金です。


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