2005年2月27日(日)「しんぶん赤旗」

主張

納税者の思い

大増税の足音を聞きながら


 納税者の申告で税額を確定する確定申告―。所得税は三月十五日、個人事業者の消費税は三月三十一日までが申告期間です。

 給料から所得税を天引きされる勤め人にも関係があります。

 毎月の天引き額は仮払いのようなものです。年末の時点で計算した実際の税額との差額は年末調整で精算されますが、精算しきれない場合が出てきます。医療費に年間十万円以上かかった場合、災害によって生活関連の資産に五万円を超える被害を受けた場合、公益法人や政党に寄付した場合など、さまざまです。

税金について考えよう

 それぞれ所得から控除できます。所得税率が10%の人の場合、災害で三十五万円の損害が出たら、三十五万円マイナス五万円=三十万円の10%、三万円の税金還付を受けられます。政党への寄付は中低所得層に有利な税額控除も選択できます。

 申告納税とは、納付すべき税額をみずからの申告で確定する制度です。一九四七年までは税務署が課税額をはじき出していました。申告納税は、国民主権を宣言した憲法にもとづいて国民が獲得した権利です。

 大切な権利を積極的に行使するとともに、改めて税金について考えてみてはどうでしょうか。

 眠い目をこすり、帳簿に首っ引きで税額をはじいて納税する。商売が赤字でも身を削って納める消費税。医療費の領収書をかきあつめ、慣れない申告書をつくり、いくばくかの還付を受ける―。

 庶民が税金に四苦八苦するのはいつものこと。とはいえ例年以上に骨身にしみる思いがするのは、貯蓄も収入も減っているうえ、社会保険料も税金も上がっているからです。

 そんな庶民をしり目に、小泉内閣は税金を浪費し続けようとしています。総額一兆円の関西空港二期事業で、来年度は三百億円を計上して二本目の滑走路に着工します。一本目の滑走路がガラ空きにもかかわらず―。採算の見込みが立たない高速道路にも二千億円をつぎ込みます。

 五兆円もの軍事費、税金分け取りの政党助成金、警察の組織ぐるみの不正支出など、メスを入れるべきムダ遣いがごろごろしています。

 他方で、財界や小泉首相が議長を務める経済財政諮問会議では、「財政再建」と言えば「社会保障の抑制」が決まり文句になっています。ムダな出費を削らず、必要な予算を抑えるのは本末転倒です。

 税金の集め方もゆがんでいます。過去最高益を上げる大企業の法人税や高所得者向けの減税は続けるが、庶民には年金課税を強め所得税・住民税の定率減税の半減・廃止に踏み出すというのです。

 勤め人の方は源泉徴収票をよく見てください。定率減税の金額が書いてあります。それが半減・廃止されようとしています。

納税者が政治動かす

 消費税の納税義務を負わされている中小業者と違って、勤め人の場合は年間の消費税の重さは実感しにくいものです。大ざっぱに見れば手取り収入から貯金と非課税の家賃を除いて税率の5%をかけた金額です。手取り四百万円、貯金ゼロで家賃が年百万円とすれば、ざっと十五万円の消費税を負担している計算です。

 財界や政府税制調査会は、定率減税を廃止したら、次は消費税を二ケタに増税すると言っています。十五万円が三十万円にはねあがります。

 納税者の怒りは、これまで何度も政治を動かしてきました。税金の使い道と集め方のゆがみを正す世論を巻き起こしていきましょう。



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