2005年2月26日(土)「しんぶん赤旗」

NECフィールディング

9年連続黒字なのに1000人削減

「給料払い過ぎ」と退職強要


 増収増益を続けるNECグループ会社、NECフィールディング(本社・東京都港区、従業員約七千人)が千人規模の人員削減を強行しています。退職勧奨や転籍強要に揺れる職場では、「黒字なのに、なぜリストラなのか?」と、不安と怒りがひろがっています。


 NECフィールディングが業績の下方修正を理由に千人規模の人員削減を突然マスコミに発表したのは昨年九月三十日。社員にとって、「寝耳に水」でした。

 下方修正といっても、「今期の経常利益が予想の百六十九億円から百十六億円に下がる見通し」という話です。

104億円の利益

グラフ

 同社は、九年連続の増収増益を維持し、今期で十年連続を見込んでいます。二〇〇一年の不況時、電機各社が赤字に陥っていたときも、百四億円の経常利益を上げ、その後も利益を伸ばしている優良企業です。

 「黒字経営で大量の人員削減が許されるなら、労働者の雇用はめちゃくちゃになります」と五十代の男性社員は怒ります。同社員は、退職強要を拒否しています。

 労働組合(連合・電機連合加盟)がリストラを容認するなか、すでに昨年十二月に対象者千六百人全員(四十五歳―五十九歳)の個人面談がいったん終了しています。早期退職優遇制度か新設の人材派遣会社への転籍かの進路を迫られ、今年二月十日から受け付けが始まっています。

 しかし、人員削減の目標達成が困難な職場では、現在も二度、三度と上司による執拗(しつよう)な個人面談が続いています。

 ある五十代の主任の男性社員も何度も面談を強いられている一人。「退職には応じない」ときっぱりと拒否しているにもかかわらず、上司は「仕事内容からいって、君には給料を払い過ぎている」と脅し、再度面談するよう求めています。

 また、別の男性社員も、「仕事はない。会社に残ったとしても、今まで通りの給料がもらえるとは限らない」などと退職を迫られています。

 こうした脅しと、会社に対する失望から早期退職優遇制度への応募者が募集人員二百人を超えました。

 しかし、新派遣会社への転籍(募集人員二百五十人)の方は遅々として進んでいません。会社は人材派遣分野への進出をめざし、今年四月一日に設立予定ですが、現在のところこの日程が狂いかねない事態です。

大幅な減給が

 「新派遣会社に行けば、ほとんどの社員は給料の大幅な減額が避けられない」と社員たちは口をそろえます。派遣会社の賃金ランクの上限を超える場合は、最高で十万円も減額になります。退職金も移籍時に所定の退職金が支給されるだけで、派遣会社での退職時には退職金はありません。

 リストラ計画は、NECフィールディングの社員にとどまりません。長年一緒に働いてきた五百人にのぼる協力会社の人たちが切り捨てられます。いっそうのコスト削減がねらいで、新派遣会社などにその仕事を切り替える方針です。

 会社側は、価格低下や競争激化などを業績の下方修正の理由にしていますが、自らの経営責任にはふれていません。

 「もうけが当初予想より少なくなるからといって、大リストラを強行するのはあまりにも乱暴な話です。九年連続の増収増益から少し取り崩せばすむことです。会社は社員の合意を尊重するといいながら、実際には社員に退職勧奨しています。一方的に労働者に犠牲を強いるリストラを許すことができません」と男性社員は話します。

 (中村隆典)

 NECフィールディング 国内最大級のコンピューター保守会社。パソコンからスーパーコンピューターまで各種コンピューター、ネットワーク機器についてのメンテナンスサービスなどを手がけるITサポートサービス企業です。




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