2005年2月26日(土)「しんぶん赤旗」 宇宙開発予算ピンはね科学に名を借りた利権あさり解説日本共産党の吉井英勝議員が二十五日の衆院予算委員会分科会で示した宇宙開発での予算のムダ遣いの構造は、科学に名を借りた利権あさりという深刻な問題を投げかけました。 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の前身の宇宙開発事業団(NASDA、〇三年に他の二団体と統合)の契約をめぐっては九八年、吉井氏がNECなど三社から水増し請求があることを指摘し、六十六億円を国に返還させた事実があります。 この事件は予定価格と契約額がすべて一致する随意契約で、NASDAと相手企業が一緒になって価格設定を行い、見積もり価格に初めから「水増し」分を含めて高く設定したというものです。 なぜこういう不正が起こるか。吉井氏は、JAXAに三菱重工や石川島播磨重工など宇宙産業各社から三百二十二人が「天上がり」し、メーカー出身の人物が約二割にのぼることを指摘。メーカー十三社が設立したロケットシステムが随意契約でJAXAから請け負う段階で契約金額の7―13%にあたるマージンを稼ぎ、自分の構成企業であるメーカーに丸投げするのでは「すべて相手方のメーカーいいなりの金額になるのではないか」と批判しました。 実際にJAXAが発注した情報収集衛星システム開発の契約例では、十六回もの契約変更が行われた結果、金額が当初の六百五十億円から七百八十三億円と一・二倍に膨れ上がりました。しかも情報収集衛星については「機密」を理由に契約変更の内容も衛星の観測データも明らかにされない異常ぶりです。 年間三千億円の宇宙開発予算のうち、国の宇宙開発の実施機関であるJAXAには約七割の二千億円が流れています。宇宙開発を含めて科学技術に予算を投じることは必要ですが、国の研究機関であるJAXAが委託契約のピンはねを行い、宇宙開発産業の大企業に有利なように巨額の予算をゆがめることがあってはなりません。(古荘智子) |